6月のコア消費者物価指数(除く生鮮食品)は前年同月比-0.5%(5月同-0.4%、コンセンサス-0.4%程度)と、4ヶ月連続のマイナスとなった。6月のコアコア消費者物価指数(除く食料・エネルギー)は+0.4%(5月同+0.6%)と、昨年11月の同+0.9%からの減速が明確になっている。
2%の物価上昇の目標への日銀の本気度が試される局面
2014年の消費税率引き上げ後の需要の停滞、そしてグローバルな景気・マーケットの不安定感による株価低迷などで消費者心理は悪化している。消費活動の弱さが物価の上昇を抑制していることも明らかになっている。円高も進行し、企業の値下げのニュースも聞こえ始め、デフレ期待の再燃も危ぶまれている。これまでの原油価格の下落により、コアがコアコアに先行して弱くなってきたが、今後はコアコアの上昇幅の縮小も加速し、需要の弱さからの物価停滞の影響がより明確になってくるとみられる。
全国のコア消費者物価指数の前年同月比は、年末までにプラスに戻ることができない可能性が高まってきた。来年初めから上昇に転じていくとしても、日銀が目指している「2017年度中」の2%の物価目標の達成は困難である。日銀が重視する短観の企業のインフレ期待も4四半期連続で低下し(1年後が+0.7%、5年後が+1.1%)、政府・日銀の目標である2%へは上昇せず、1%でインフレ期待がアンカーしてしまってきているように見える。2%の安定的な物価上昇を目指す、現行の量的質的金融緩和は、まずインフレ期待を2%へ上昇させ、そこでアンカーし、実際の物価が2%へ上昇した後も、安定的にその水準で推移するようにすることが目的である。
黒田総裁は、「経済・物価のリスク要因を点検し、「物価安定の目標」の実現のために必要な場合には、「量」・「質」・「金利」の3つの次元で、追加的な金融緩和措置を講じる」と繰り返し述べてきた。マーケットは既に7月の追加金融緩和を織り込み、円安・株価上昇で反応している。日銀の2%の物価上昇の目標へのコミットメントが試される局面にきている。7月の東京都区部のコア消費者物価指数(除く生鮮食品)は前年同月比-0.4%(6月同-0.5%、コンセンサス-0.4%程度)と、5ヶ月連続の下落をとなった。原油価格の持ち直しの影響が出始めているとみられるが、それを打ち消す需要の弱さに起因する下落圧力が、足元の物価の弱さにつながっているとみられる。