1万円は20円……残りの9980円は日本国の信用力?

2016年度の「日本銀行券」の発行枚数はトータル30億枚で、うち1万円札が12億3000万枚、5000円札が2億枚、1000円札が15億7000万枚になっている。 日本円紙幣の製造原価は、日本銀行が国立印刷局から買い上げる価格ということになる。2016年度の日本銀行の決算書によれば「銀行券製造費」は518億円になっている。 国立印刷局に対する過去のヒアリング結果による試算ではあるが、1万円札が25.5円、5000円札が19.5円、1000円札が10.4円程度になる。硬貨に比べれば、紙幣のコストは額面に対して極めて低い。

偽造防止技術は世界トップレベル

コストは低い一方で、1万円を始めとして「日本銀行券」に施された偽造防止技術は、世界トップクラスだ。日本の紙幣の流通量に対する偽札の発生割合を、外貨と比べると、ユーロは216倍、USドルが638倍、ポンドにいたっては1619倍と、日本円では極めて低い水準となっている。日本円紙幣の印刷には、紙幣を傾けると色が変化して見えるインクや選択しても破けない和紙を使用するなど、高度な偽造防止技術がいくつも施されていることが、こうした結果をもたらす最大の要因だとみられている。

ちなみに、警察庁によると、最近数年間で、日本国内で発見された偽札は年間数千枚のペースだった。

硬貨に関しても同様に高度な偽造防止の技術が使われている。たとえば、500円玉には世界初の「斜めギザ」の技術が使われている。硬貨の側面の溝を斜めに刻んだものだ。普通に使う分には、特になんの影響もないが、偽造防止という意味では高い効果があるという。ほかにも、髪の毛よりも細い溝や点を刻む「微細加工」もされており、これも最先端の技術だろう。

スイスやカナダとともに、高い偽造防止技術を評価されている日本の印刷技術の輸出は、海外の紙幣印刷向けにも積極的に試みられている。だが残念なことに、発展途上国等においては「紙幣の偽造を防止するための技術投資よりも、偽造そのものを取り締まるほうが安くつく」という理由で、なかなか受け入れて貰えないのが実情のようだ。

2020年の東京オリンピック・パラリンピック記念硬貨の販売価格がいくらになるのかは、発行枚数や材料がはっきりするまでは何も言えない。だが、価格に見合う以上に、日本が世界に誇る高度な技術が、応用されることは間違いないだろう。 (ZUU online編集部)