2. 東京ビジネス地区の平均賃料は全地区で前月より上昇
次に、東京ビジネス地区における平均賃料はどうなっているのでしょうか。
上述の三鬼商事の資料を基に分析を行った結果、東京ビジネス地区の3月時点の平均賃料は1万7,973円で、前月より69円、前年同月比で778円上昇していることが分かりました。このうち、新築ビルの同平均賃料は2万9,142円で、前月より1,229円、前年同月比で2,982円と大幅な上昇が確認できました。
一方、既存ビルの同平均賃料は1万7,730円で、前月より63円の上昇、前年同月比で786円値上がりしています。
地区別平均賃料を前月比で見てみると、東京ビジネス地区すべてで値上がりしていることが分かりました。新宿区は189円上昇して1万5,295円、港区でも90円上昇して1万8,409円、渋谷区も78円アップの2万153円、中央区は75円アップして1万6,453円、千代田区は12円とわずかにアップして1万9,454円となりました。
地区別平均賃料を前年同月比で分析してみると、地区別平均空室率が2%台の渋谷区は、1,450円と大幅に上昇しており、千代田区や港区でも800円以上の上昇が確認できます。
3. オフィス市場の供給過剰と対策
上述の分析結果から、2016年の東京オフィス市場は底堅い需要に支えられ、賃料も上昇傾向を継続していくものと予測できます。
ただし、順調に見えるオフィス市場ですが、気がかりな点もあります。東京23区では2015年以降に完成する延床面積1万平方メートル以上の大規模オフィスビルが100棟以上もあり(計画中のプロジェクトを含む)、2018年まで平均100万平方メートル超の供給ペースが続くと見られ、2019年は現在判明している計画だけで200万平方メートル超、総延床面積は943万平方メートルに達すると言われています。
2020年開催の東京五輪を前に、オフィス市場は供給のピークが到来し、供給過剰になる可能性が考えられますので、投資を行う場合は十分注意する必要があります。また、オフィス市場の過剰な供給を回避するためにも、今後は国内企業の誘致だけでなく、新たな需要が見込める外国企業をいかに日本市場に呼び込めるかが鍵となるでしょう。これはオフィス市場だけでなく、ホテルやマンション市場も同様です。
「東京五輪後に不動産需要が落ち込む」というマイナスの予測をどこまで払拭できるかが、今後、東京の不動産価格の動向に大きな影響を与えそうです。(提供: TATE-MAGA )
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