「好業績銘柄」の投資ポイント

表1では一定条件をもとに銘柄を抽出しましたが、実際の投資パフォーマンスは、投資タイミングやバリュエーションも影響してくると考えられます。ただ、足元では株価が大きく変動している銘柄も少なくなく、株価やそれをもとにしたバリュエーションを条件には入れませんでした。そこでここでは、表1にあげた上位5銘柄について、現状の解説や投資ポイントをご紹介したいと思います。

◆東京瓦斯 <9531>

図1:東京瓦斯(9531)・日足

第1四半期(7/29発表)の営業利益は471億円で前年同期比50.2%もの大幅減益でした。減益決算であることに加え、自己株式取得完了もあり株価は7/25(月)の463.9円を高値に8/4(木)まで8%下げています。

当四半期の原油価格(平均レート)は前年同期比で2割下落しており、ガス販売価格の下落につながっています。ただ、第2~4四半期は前年同期の原油価格が下がる分、原油価格の前年同期比下落率が緩和されやすくなってくるので、その分悪影響は小さくなっていくと予想されます。

それを考えると市場コンセンサスに対して上振れたことが過小評価されているように思われます。第1四半期末BPSで評価した連結PBRは0.95倍と「解散価値」割れで、割安感が強まっています。

◆セガサミーホールディングス <6460>

図2:セガサミーホールディングス(6460)・日足

第1四半期(8/2発表)の営業利益は30.5億円となり、前年同期の94.5億円の赤字から回復しました。市場も57億円の赤字を予想していましたので、まさにポジティブ・サプライズとなり、株価も8/3(水)・8/4(木)と続伸しました。遊技機の回復に加え、スマホ向けゲームでも課金が伸びています。

会社側は15/3期をコスト構造改革期、16/3期を事業構造改革期ととらえ、17/3期はその成果を刈り取る時期と考えているようです。17/3期の予想営業利益は会社計画200億円に対し、市場コンセンサスでは約250億円を見込んでいましたが、市場の予想通り上振れとなる可能性が強まってきたように思われます。

2017/4に韓国初の本格的統合型リゾート「パラダイスシティ」(出資比率45%)の稼働開始を予定しています。

◆ソニー <6758>

図3:ソニー(6758)・日足

第1四半期(7/29発表)の営業利益は562億円となり、前年同期比42%の減益となりました。ただ市場では赤字を予想していましたので、それに対しては大きく上振れる結果となりました。

4/14(木)に起きた熊本地震の影響が心配されてきましたが、半導体を中心に当四半期は342億円の悪影響があり、通期では800億円に達する見込みです。ただ、5月時点では1,150億円と見込まれていたことを考えると当初予想よりは軽微に済む見通しです。

「プレイステーションVR」については7/23(土)から予約販売を再開したものの、引き続き多くの販売店やECサイトで品切れ状態にある(公式サイト)とのこと。世界に先駆けて新市場を開く久々のソニー商品に育つとの期待は大きい。

◆富士通ゼネラル <6755>

図4:富士通ゼネラル(6755)・日足

国内外で展開する家庭用エアコンが中心です。売上高の3分の1が国内、3分の2が海外となっています。国内事業は海外で生産して国内に輸入しているため円高が追い風になりますが、海外事業では円高が売上高の目減りにつながります。その意味で、為替変動リスクがコントロールされているとみられます。

第1四半期(7/22発表)の営業利益は92.4億円となり、前年同期比39.8%の増益となりました。ただ市場では20%程度の減益を予想していましたので、それに対しては大きく上振れる結果となりました。17/3期(通期)の予想営業利益については240億円程度を見込んでいますが、市場では上振れを予想し、18/3期も増益が続くと予想しています。

株価は2016年に入り堅調に推移しています。外為市場で円高圧力が強まる中、為替リスクをさほど気にせず投資できることは追い風とみられます。足元は利益確定売りが先行している形ですが、再評価される場面もありそうです。

◆大日本住友製薬 <4506>

図5:大日本住友製薬(4506)・日足

第1四半期(7/27発表)の営業利益は145億円となり、前年同期比227%増と増益になりました。市場では82%の増益を予想していましたので、それに対しては大きく上振れる結果となりました。

自社開発薬で採算も良いとみられる抗精神病薬「ラツーダ」が北米を中心に好調だったことが要因です。海外売上高が55%に達していますが、当社の場合、当四半期はドル・円相場が前年同期121円から108円へ円高・ドル安となりましたが、それが36億円も販売管理費が下がる要因になっています。年度ベースでも1ドル1円の円高・ドル安で2億円の営業増益要因と考えられています。

営業利益は今期400億円を超え、来期は500億円前後に拡大すると市場では予想しています。足元は利益確定売りが先行していますが、見直し買いが入る場面もありそうです。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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