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2014年5月22日にソニーは2014年度の経営方針背説明会を開催し、平井一夫社長から2014年度も引き続き営業赤字となっているエレクトロニクス部門の構造改革に注力していくという方針が伝えられました。

ソニーと言えば数々のヒット商品を世の中に送り出してきた世界的の誰もが知っている一流のエレクトロニクス企業ですが、トリニトロンやウォークマンで隆盛を極めたかつての王者の威風はみじんも感じられなくなっています。2013年度はアベノミクスによる景気拡大局面で円安の進行などにより多くの輸出企業が過去最高益の営業利益を叩きだす中、ソニーは1284億円もの営業赤字に転落してしまいました。

現在のソニーを牽引している事業はエンターテイメントや金融業であり、エレクトロニクスは厄介者のように扱われています。第4の柱として2013年には介護事業にも進出し、モノづくりの企業からサービス、金融の企業へ構造改革に大きく舵を切りました。構造改革の具体的な施策はVAIOブランドで有名なPC事業の売却、本社・販社費用削減(5000人削減目標)、テレビ事業分社化など総費用にして3000億円にも上る特別損失を計上して改革を実施するという非常に強力なメッセージとなりました。

ソニーの事業戦略として2014月4月24日、新たに不動産市場へ参入すると発表しました。ソニー全額出資となり新会社名は「ソニー不動産」で8月1日に営業開始予定となっています。ソニー内部で企業の方向性を多方面に模索しており、不動産市場参入も社内のアイデアから始まった物だそうです。具体的な目標は3年後に500億円の売上を目指す事に設定されています。この様な新規事業創出活動はこの先も矢継ぎ早に出てくる可能性が高いと思われます。

ソニーは金融事業とエンタメ事業の2本を成長事業と位置付け、2014年度中には構造改革を完了させる予定です。2015年度には連結で4000億円規模の営業利益を目指す事になっています。金融業は特に行き届いたサービスが人気となっており生命保険、損害保険、銀行について構造改革による人員配置転換なども実施し、業務の拡大を急いでいる模様です。ステークホルダーに対して赤字体質からの脱却を宣言していますので、平井社長の強いリー ダーシップにより今年はさらに大胆な施策が実施される可能性が高いと思われます。

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photo credit: SONY via Wikipedia cc