通常のチェーン店の場合、消費者の要望は本部が吸い上げ商品や内装の変更などの戦略を立案し実行に移していく。それに対しドンキでは、品揃えや陳列・広告方法など現場で対応できることは店舗の判断でどんどん進める。

柔軟かつ迅速な対応によりドンキは消費者のニーズを着実に取り込んできた。例えば「パーティグッズが欲しい。」という消費者の声が多くなっていることに現場の担当者が気づき品揃えを強化する店舗が急増した結果、「パーティグッズといえばドンキ」というイメージが定着しハロウィン関連のグッズ売上は5年で10倍以上に拡大した。

ドンキでは、「電気・情報通信・ソフト・自転車」、「カー用品・玩具・バラエティ・ エクステリア」などの商品カテゴリー別の事業部制を採用しているが、これらの事業部に所属するスタッフが店舗の棚を管理する体制を構築している。商品を調達する事業部(本社)と現場の棚を預かる担当者が直結しているため、現場の声をすぐに品揃えに反映できる点が大きな強みとなっている。

圧倒的な「安さ」と「インバウンド需要」の獲得

ドンキの大原孝治社長は、「安いという概念には『安っぽい・安い・安く感じる』の三段階活用がある。」と述べている。

一番目の「安っぽい」は消費者がバカにする絶対に陥ってはいけない段階。二番目の「安い」は市場経済における競争力の源泉で家計を預かる主婦の支持を得る段階。三番目の「安く感じる」はお祭りやテーマパークで楽しく過ごしたときと同じように高揚感から安さを実感してもらう段階だ。実際の経済価値としての安さに加え気分的なお得感を演出し、消費者に喜んでもらう点にドンキの戦略の特徴がある。

テーマパーク的な楽しさは外国人観光客からも大きな支持を得ている。2015年の訪日外国人数は1973万人だが、その半数程度がドンキを訪れたといわれている。今やドンキはジャパン・ポップカルチャーの一翼を担うともいえる存在だ。

またドンキの特徴の1つでもある深夜営業は日本の若者や会社員層だけでなく、外国人観光客にも支持されている。滞在時間を効率的に使いたい観光客にとって離日直前の深夜・早朝にお土産を買えるドンキは極めて便利だ。コンビニと比べ品揃えも圧倒的に多く一か所で欲しいものをすべて買える点も魅力だ。

このように他の大手小売業と異なるアプローチで安さ、品揃え、楽しさを追及するドンキの快進撃は当面続くのかもしれない。(ZUU online 編集部)