アマゾンやヤフーの展開は?

さて、それでは楽天以外の通販事業者はどのような展開を見せているのでしょうか。ヤフーはソフトバンクテレコムとともにイオンと組んでO2Oビジネスを行っていることがニュースになっていることもありました。ヤフーのウルトラ集客というサービスを利用して、イオンに送客しようとするものです。また、2014年にはブックオフとの業務提携を発表し、ヤフオクなどを利用してのリユース市場の拡大を目指しています。一方、アマゾンはカメラで写真を撮るだけで、アマゾンのサイトなどで価格比較できるサービスを展開し始めました。日本におけるアマゾンの事業展開はO2Oとは逆を行っているように見えますが、アメリカでは生鮮食品のミニスーパーを出しています。今後は日本でも同様の展開を繰り広げる可能性もありそうです。


楽天が狙うところはどこか

競合もO2O戦略を取ったり、逆にネットに特化する戦略を取ったりする中で、楽天はO2O戦略で何を狙っているのでしょうか。一つは市場規模の大きさにあると考えています。通販業界の市場規模が9兆円とも15兆円とも言われていますが、民間の最終消費支出は約280兆円程度もあります。通販業界から見れば、巨大なマーケットがリアルに広がっているわけです。また、楽天の場合、実店舗に誘導することで収益機会が広がります。実店舗でもポイントを発行することができるようになれば、そこでポイントビジネスが展開できます。また、その実店舗でクレジットカードや楽天Edyを利用してくれれば、クレジットカードやEdyでの収益も上がるわけです。さらに、顧客誘導手段として「楽天チェック」が盛り上がれば、マーケティング分野での収益も期待できます。

ネットのみに広がっていた楽天経済圏をリアルにも広げることで楽天の巨大なマーケットが出来上がるわけです。楽天の会員数は2014年3月末時点で9,193万人います。この会員の数%を実店舗に誘導できるだけでも100万人単位の数になるわけですから、リアルに打って出た楽天の収益拡大の可能性はかなり大きなものと言えるのではないでしょうか。

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photo credit: PriceMinister via flickr cc