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(写真=PIXTA)

会社員の平均年収は400万円台前半と言われている。これは平均であり、上下の差が大きいことは誰もが知っていることだろう。個人に年収の差があるように、東京23区を見た時、区によっても平均世帯年収の差があるのだ。なぜ区によって年収に大きな差が生まれるのだろうか。その理由の一つに小学校などの学区が関わっているようだ。

不動産ビッグデータでビジネスを展開するスタイルアクトが8月30日に「東京23区の年収の高い小学校区」の調査結果を発表した。これは国勢調査および住宅土地統計調査をもとに、同社が独自のロジックを使用・分析し作成したデータである。

これはあくまで「その区で一番世帯年収が高い学区」だけを比べたものなので、たとえば1位の区にある「すべての小学校区」が、「2位以下の区にあるいずれの学区よりも平均年収が高い」ということでは決してない。そのあたりに留意しつつも、参考になることもあるだろう。「東京23区平均世帯年収1位の小学校区一覧」をランキング化したものを下から順に見てみよう。

23位から11位 文京区はトップ10入りならず?

23位 荒川区 尾久第六小(565万円)
22位 北区 西浮間小(584万円)
21位 墨田区 菊川小(586万円)
20位 中野区 武蔵台小(591万円)
19位 豊島区 目白小(609万円)
18位 足立区 栗原北小(621万円)
17位 台東区 忍岡小(651万円)
16位 杉並区 桃井第三小(654万円)
15位 新宿区 津久戸小(656万円)
14位 葛飾区 西小菅小(677万円)
13位 練馬区 関町北小(680万円)
12位 江東区 豊洲北小(681万円)
11位 文京区 礫川小(689万円)

この中から特徴的な4区見ることで、平均世帯年収が高いこととその区内で1位の小学校区の背景を読み取ることができる。

まず16位の「杉並区」を見てみよう。杉並区内1位は西荻北エリアを学区とする「桃井第三小」である。平均世帯年収は654万円だ。桃井第三小の学区は、西荻北1~3丁目を含み、JR西荻窪駅北口から徒歩3分という好立地にある。

中でも西荻北3丁目は駅に近く、敷地面積の広い戸建てが多い特徴があり、その点から他の地域よりも平均世帯年収が高いことがわかる。また桃井第三小は杉並区教育委員会から、タブレット端末を使用したICT活用の研究パイロット校に指定されている。

このような教育環境の高さが学校選択制の中で人気の一つとなっているのだ。

次に12位の「江東区」を見てみよう。人口の増加が著しい江東区では、タワーマンションが立ち並ぶ豊洲エリアを学区とする「豊洲北小」が平均世帯年収江東区内1位で681万円だ。豊洲北小学校の学区は、豊洲1~3丁目の新しく開発されたマンションエリアを含んでいて、道路が広く、緑も多い地域といった特徴がある。

豊洲エリアは、都心へのアクセスがよく、職住近接を求めるファミリー層に人気のエリアとして知られている。こうした生活環境が整ったエリアには平均世帯年収が高いファミリー層が集まることがわかる。

続いて11位の「文京区」。近年、年少人口が増加し住宅地域として人気が高まっている場所だ。そんな文京区内1位は「礫川小」で、平均世帯年収は689万円だ。礫川小の学区は春日通を上った高台に位置し、春日や小石川エリアの一部が含まれる。景観がよく、マンションの立地として最適である。

特に春日2丁目は立地の良さを売りにした高級マンションが多数存在し、世帯年収が高い人が多い場所だ。治安が良く、教育環境としても優れていると言えよう。