米テスラモータズがフランスの国際大手保険会社、AXA(アクサ)との提携で、テスラ車専用自動車保険「InsureMyTesla 」の販売を、香港とオーストラリアで開始した。
車両保険、自動車事故弁護士費用といった標準的な補償に加え、初回登録日から3年以内の新車に限っては同じ車種と交換可能。さらには充電器やウィンドウを含むアクセサリー類や、盗難の際のレンタカー料金までカバーしてくれる充実の補償内容だ。
テスラが保険市場に進出したふたつの理由
テスラは勿論、Apple、Google、BMWなど、国際大手が競うように開発中のロボットカ―(自動運転車)。
2020年前後を目途に、各社のロボットカ―発売ラッシュの幕が開くと予想されていることから、テスラの自動車保険市場への進出は、次世代自動車ブームの到来を見越しての動きだといわれている。
米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)によると、米国の約9割の交通事故が人間の過失によって起きているという。それが真実であれば、今後「事故が起こりにくい」ロボットカ―の需要が爆発的に伸びるのは確実で、ロボットカ―に対応する新たな自動車保険のフレームワークが必須となる。
「InsureMyTesla 」は各顧客の需要に合わせて補償プランを組める柔軟性をウリにしており、補償はウィンドウ、ライト、キー、テスラSの充電器「ウォールコネクター」などのアクセサリー類にも適用される。
さらには不幸にも盗難にあった場合、最高2週間(2500ドル/約26万円)のレンタルカー料金が支払われるというから、テスラ車愛用者にとっては嬉しい限りだ。
通常の自動車保険と大きく異なる点は、強制保険とも呼ばれる「自動車損害賠償責任保険」ではなく、あくまでテスラの車およびアクセサリーのみを補償する「任意保険」である点。
気になる掛け金に関しての情報は公開されておらず、実際に見積りを請求するまではわからないようだが、エコ環境促進ウェブ「Electrek」の調べによると、オーストラリアでは年間1200豪ドル(約9万円)からということだ。
テスラが独自の自動車保険を商品化したもうひとつの理由として、かねてから問題視されていた「テスラ車の特殊性」が挙げられる。
テスラ車は既存の自動車保険会社には非常に扱いにくいとの指摘は、例えばモデルS60Dと75Dがまったく同じバッテリーを搭載しているにも関わらず、ソフトに設定された充電容量が異なるという理由だけで、販売価格が異なる。
ここで問題になるのはS60Dを補償する場合、60kWhのバッテリー搭載車として扱うべきだが、実際には75kWhを搭載しているため、ここで差が生じてしまう。ハイテクカ―ゆえの、保険会社のジレンマといったところだろう。
そのほかテスラ車をあまり理解していなかった保険会社に、非常に割高な掛け金を請求されたという訴えなどもでている。
「InsureMyTesla 」のような自動車メーカーによるダイレクト保険は、そんなゴタゴタを未然に防いでくれるだろう
テスラが今後、「InsureMyTesla 」を国際展開していくのかという点が気になるが、現時点では正確なコメントは発表されていない。( FinTech online編集部 )
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