楽天は5月23日に旅行予約サービス「楽天トラベル」で展開している法人向け一括精算サービス「Racco(ラッコ:Rakuten-Travel Cashless Check‐Out System)」に国内レンタカー予約サービスを追加し、まず皮切りにオリックスレンタカーを対象とたことを発表しました。レンタカー会社はオリックスレンタカーに限らず、順次提携先を拡大していく予定です。オリックスレンタカーの全国約930拠点でサービスの利用が可能となり、稼働の落ちる平日を強化するべく法人利用を取り込もうという算段です。
楽天トラベルは2007年よりレンタカー事業を扱っていますが、これはあくまで宿泊予約や航空券の予約とともにレンタカーの「同時予約」もできるというものです。今回のオリックスレンタカーとの提携はレンタカー単独での予約受付であり、宿泊、航空券に次ぐ出張先での需要を取り込もうというわけです。もともと企業の出張に関わる手配を包括的に管理する法人向けソリューションサービスである「Racco」を展開しており、今回のレンタカー予約の追加はこの「Racco」の利便性向上につながるものと言えます。「Racco」そのものは2013年の実績を見てみても前年比約4割造塊しており、代理店経由も含め、1万を超える事業所が利用しています。また、社用車を減らす動きが進んでいる現在において、法人向けレンタカー需要が高まっており、楽天トラベルのレンタカー事業においても2012年比で約4割も売り上げが増えました。
楽天にとっては提携先が増えればそこから得られる手数料収入も増えます。航空チケットや宿泊施設の予約にレンタカーの予約まで加われば、出張におけるほぼすべてのニーズを満たしたことになります。しかも、その際の決済手段が楽天カードとなれば、カード事業との相乗効果も見込めます。楽天トラベルの第一四半期における売上収益は8,536百万円(前年同期比で9.1%増)、営業利益3,300百万円(前年同期比11.1%)、また楽天カードの売上収益も年々増えており、第一四半期では22,474百万円(前年同期比34.6%増)、営業利益3,980百万円(前年同期比56.9%)となっています。
楽天を語る際、楽天経済圏というキーワードが出てきます。個人向けサービスのイメージが強い楽天ですが、個人が利用するお店や施設を楽天経済圏に加えることにより、利用料を取るというビジネスモデルが芯にあります。このビジネスモデルが安定期に入った今、今回のレンタカー予約のように、手数料増加につながる楽天経済圏のサービスをどれだけ増やすことができるか が更なる成長のキーと言えるでしょう。一方で、KoboやVIKIといったデジタルコンテンツ事業で、新分野の開拓が始まっています。この分野において賛同してくれる法人をどれだけ集められるかといった点にも注目しておきたいところです。
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