君の名は,アニメ,経済効果
(写真=PIXTA)

リオ五輪閉会式では、「ドラえもん」はもとより「安倍マリオ」までが登場し、日本のアニメパワーが遺憾なく発揮されていた。現在もアニメ「君の名は。」が大ヒット、世界85の国・地域での公開が決まっている。

「君の名は。」ゴジラの倍速でヒット街道を爆走?

日本テレビ系「ZIP!」によると、6日間の興行収入はすでに21億円を超えており、映画大ヒットの目安とされる、60億円越えも間違いなさそうな勢いだ。興行通信社によると、2016年7月29日に公開されて以降、快進撃を続けている「シン・ゴジラ」ですら、興行収入21億円を超えるのには2週間を要している。

新海誠監督は2002年に公開された、短編映画「ほしのこえ」の時代から、ち密な風景描写で高い評価を得ている。同作品はほとんどの作業を監督一人で行い、わずか200万円で個人制作されたという。2007年公開の「秒速5センチメートル」の制作費も、27万ドルとアニメ作品にしては低予算だったが、その圧倒的な映像美は世界に熱烈なファンを増やしていった。

「君の名は。」は、ドイツのアニメ映画祭で最優秀賞を獲得した、2013年の「言の葉の庭」公開から約3年、新海監督の7作目になる。制作費は、今のところ明らかにされていない。だが、通常アニメ映画の制作費が5億円程度であることや、同監督作品で初めて製作委員会方式が採用されたことなどから、7億円程度だろうかと推測される。新海監督の最新作とあって、海外からも公開を求める声が広がり、すでに世界85の国・地域での配給が決まっている。

アニメは見るだけにとどまらず、体感する域まで

日本動画協会の「アニメ産業レポート2015」によれば、2014年のアニメ産業市場は1兆6296億円だったが、そのうち劇場アニメの興行収入は、わずか417億円にすぎなかった。このほか、TV局のアニメ番組売上が1107億円、ビデオ売上が1021億円、映像配信売上が408億円などだった。アニメ産業の大部分を占めるのが、6552億円のアニメ関連商品の売上、3265億円の海外での上映・放送やビデオ等の売上、2981億円のパチンコやパチスロ向けの売上などだ。間接的な売上が市場の大部分を占めていたことがわかる。

アニメの経済効果がわかる好例として、「ラブライブ!」を挙げることができる。学校で結成された、架空のアイドルグループの活躍を描いた作品群なのだが、作中のアイドルグループが歌う楽曲のCDや、担当声優が作中のライブシーンを再現するライブ公演など実在のアイドルさながらの活動内容である。テレビや劇場でのアニメ化、スマートフォンや携帯ゲーム機向けのゲーム化など、広範にわたるメディアミックス展開が、大きな特徴だ。

劇場版「ラブライブ!」の累計興行収入28億円に対し、アニメDVDやCD、関連グッズの売上を含めると、経済効果は500億円を超えるものと見られている。スマートフォン向けアプリが、全世界で2000万ダウンロードされるなど、こうした現象には外国人も驚きを隠せないようだ。