「頑張る」ほどにミスが出る!

まずは「作業記憶」。

すぐにしっかり覚えてくれるすぐれものですが、その弱点は容量が小さいこと。しかも、覚えておくために「注意」を向けておくことが必要なのです。

また、作業記憶の容量が小さいのと同様、人が同時に向けられる「注意」も限られています。

これが、メモリーミス(忘れた!)やアテンションミス(見落とした!)が起きる原因です。

たくさん情報が入ってきて覚えようとしたり、何か他のものの注意を向けたりすると、さっきまではっきり覚えていたことをすっかり忘れてしまう、他のものに注意が向かなくなったりするのです。

たとえ、あなたががんばって覚えようとしたり、見落とさないようにしても、作業記憶や注意が限られているという制約からは逃れられません。

逆に、がんばることで、余計に作業記憶や注意を浪費してしまい、さらにミスが増えるという結果になるのです。

そして、「潜在記憶」。これは勝手に思い出してくれるという便利な働きが、逆にミスを引き起こしてしまいます。

たとえば、だれかと話していて自分の話を相手が「わかる、わかる」と言っているけれども、話が誤解されていると感じることってありませんか? これは「潜在記憶」の仕業です。

相手はあなたの話を聞いているようで、実は勝手に思い出される自分の潜在記憶に意識が向いてしまって、ちゃんと聞いていないのです。

これもがんばってわかろうと聞けば聞くほど、起こしてしまうミスです。

また、何かの意思決定をするとき、自分で決めた、しっかり考えて決断した、と思っていても、実は勝手に思い出されている潜在記憶に大きな影響を受けています。

このように、私たちは「作業記憶」「潜在記憶」によってミスを起こしてしまっているのです。