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(左から)チャップマン氏、藤井氏、荻原氏(写真=FinTech online編集部)

アジア最大級をうたうスタートアップのカンファレンス「Tech in Asia Tokyo 2016」が9月6日、東京・渋谷のベルサール渋谷ガーデンで始まった。7日までの2日間にわたって行われるこのイベントは、前身のStartup Asia Tokyoから数えて3回目の開催。初日午前には、メインステージでメルカリの山田進太郎社長らが、フィンテックステージでマネーツリーのポール・チャップマン社長らが登壇した。

フィンテックスタートアップの悩み

フィンテックステージでは午前、3つのセッションが行われた。最初のセッション「フィンテックスタートアップはどのように日本の法人に働き掛けるべきか」では、チャップマン氏のほか、SPIKEペイメントの荻原充彦社長、三菱UFJフィナンシャル・グループのFintechアクセラレータ責任者・藤井達人氏が登壇。それぞれの経験から、フィンテックスタートアップが心がけるべきことなどについて議論を交わした。

スタートアップを取り巻く環境は、一昔前と比べてかなり改善されている。たとえばメガバンクのフィンテック責任者である藤井氏がこのカンファレンスに出席していることや、大手金融機関各グループがオープンイノベーションを進める部署を設けたりハッカソンなどのイベントを開催したりしていることがその証拠だ。とはいえ、こうした取り組みはまだ十分ではない。チャップマン氏は、日本の大企業や金融機関が「(会社の規模が)小さいから怖い」と考えがちであることを指摘、スタートアップがなかなか信頼が得られない現状を嘆いた。

海外スタートアップによるピッチバトルも開催

「顧客を獲得し維持する方法」と題したセッションでは、エイト証券の本田進太郎カスタマーサービス部長、Paidyの岡田大介セールス部長、ZUUの一村明博マーケティング本部長が登壇した。

Paidyの岡田氏は「加盟店であるEC事業者の先にいる顧客を視野に入れている。決済サービスではあるが、変化をつけてUXを豊かにすることでお客さまを飽きさせないサービスを提供したい」などと述べた。若い世代をターゲットに入れているというエイト証券の本田氏は具体的な取り組み施策として、(UIを)シンプルにしてビジュアルを多用することでエントリーのハードルを下げているなどと話した。

オンラインメディアや、機械学習の技術を用いた投資家向け情報サービスを提供しているZUUの一村氏は読者、投資家にメッセージを届けるために、その内容や届け方について「考え抜いている」としたうえで、具体的に投資家が検索するキーワードでメディア記事が上位にランクされる取り組みや、注力しているスマホ対応などについて説明した。

また「フィンテックスタートアップをピッチする方法、そして判断する方法」というセッションでは、グロービスキャピタルパートナーズのプリンシパル、湯浅エムレ秀和氏、シード投資ファンドでアクセラレーターである「500スタートアップス」のパートナー、マーヴィン・リャオ氏が議論した。

午後にはピッチバトルが開催され、海外のスタートアップ4社がそれぞれビジネスモデルについてプレゼンを行った。結果、インドネシアのTADA(Gift Card Indonesia)が勝者として選ばれた。同社はインドネシア・ジャカルタを拠点にギフトカードなどのサービスに取り組んでいるスタートアップ。プレゼンしたアントニウス・トーファンCEOは以前は飲食業を営んでいたという。審査員はMUFGの藤井氏やグロービスの湯浅氏らが務めた。藤井氏は「5分間のプレゼンを聞く限りではあるが、スタートアップが決済インフラの普及に取り組んでいる点がユニークだと感じた」などと話していた。

このほか、初日午後にはDeNAの創業者で会長の南場智子氏やメタップスの佐藤航陽社長らが登壇。講演や対談、鼎談のほかにも企業ブースが多数設けられていることもあって、参加者、出席者によるネットワーキングも盛んに行われていた。7日はfreeeの佐々木大輔氏、お金のデザインの北澤直氏らが登場する予定だ。( FinTech online編集部

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