HFTへの疑問視
HFTへの疑念が社会現象となった原因は、その不公平さと違法性にあります。それぞれ見ていきましょう。 まず、不公平さとはどのような事でしょうか。 HFTはミリ秒での取引を行います。最近ではマイクロ秒だとも言われています。当然この速度で売買できる人達は一部の業者に限られてしまいます。 また、HFTを利用するためには、取引所のコロケーション・サービスを利用できなければなりません。コロケーション・サービスとは、超高速で情報を処理するために、取引所の取引システムの近くに売買指示を出すシステムを設置できるサービスです。 さらにコロケーション・サービスを利用して、取引所のシステムに直接売買発注などの指示を出せる仕組みを構築することができなければなりません。 そのため同じ土俵では、個人も含めた多くの投資家が参加することができないという不公平が生じているのです。
次に、違法性について見てみましょう。 HFTが行われている株の取引では、個人投資家が板情報を見て発注した途端に、板に表示されていた注文が取り消されるということが起きているといいます。 このような現象の裏には次の様なことが行われているのではないかと疑われているのです。 例えばA氏がある株式の価格を見て成り行きで買いを注文します。
本来なら、売りに出していたB氏の株式価格で購入できますが、HFTが超高速でその売買の間に入り込み、A氏の買い情報を入手した上でB氏の株式を買い、A氏の注文が執行される前に高く売り、結果としてA氏は自分が目論んでいたよりも高値で買い掴まされてしまう、ということが起きているのではないかと疑われているのです。 ここで問題になっているのは、その速度ではありません。情報の流れが管理されていないということです。
HFTへの規制
既に述べました通り、ゴールドマン・サックスを始めとする複数のHFT業者にSECを始めとする当局の調査が行われています。 SECは既に、HFTを禁止する方向で検討していることを発表しました。ただし、実際に禁止されるのか、あるいはある程度の規制の上で許可されるのか、まだ調査の途中ですので分かりません。 ただ、過当競争で利益が減少を始めた上に、規制あるいは禁止となれば、HFT業者にとっては厳しい処分となります。 先行する欧州会議では4月に、HFT規制案が承認されました。米国もこれに続く可能性があり、米国の動きに日本も倣う可能性は大いにあります。
日本のHFT
さて、その日本でのHFTは、株式市場の取引金額ベースでは既に4割程度、注文件数では6割程度を占めていると言われています。 東証ではHFTに積極的で、コロケーション・サービスも積極的に進めました。 また、東証が呼値の刻みを細かく変更したことも、海外からは東証がHFTを好感していると受け取られているようです。
ただ、前述通り、欧米ではHFTに規制をかけるか禁止する方向への動きが見られますので、今後は日本でも特に米国の動きに追随する可能性があります。 日本のHFT業者も米国での成り行きを、固唾をのんで見守っているのではないでしょうか。
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