他人と同じ建物で過ごすというストレスも

賃貸併用住宅には、実際に住んでみないと理解できない問題点もあります。それは、自分の家と同じ建物に、他人が生活をしているということです。

一戸建てならば、中で子どもが騒いだり泣いたりしても、それほど周囲への迷惑を気に掛ける必要はありません。しかし賃貸併用住宅は大抵の場合、1階を賃貸物件にし、オーナーが上の階に住む形というように、床1枚、壁1枚隔ててお互いの騒音などが伝わります。オーナーが住人からクレームを受けることがあるかもしれません。自宅なのに他人に迷惑を掛けることを気にして生活しなければならないというのは少なからずストレスとなる可能性があります。

家族同士であれば気になることは注意しやすいですが、他人である住人にはそういった注意もしづらいものです。自宅なのに自分ですべてをコントロールできないというストレスがあるかもしれません。

賃貸併用住宅を考えるならば、防音やプライバシーを守るための設備は、自分のためにも、住人のためにもしっかりと設けておきましょう。

リスクヘッジも考えておこう

「賃貸併用住宅が人気」というのはオーナー側にとってのことであり、入居者にとってはあくまで数ある賃貸物件の一つです。満室を前提にローンを組むのは大変危険で、空室が発生した場合などのリスクも常に想定しなければ、最悪の場合、自宅を手放すという事態が起こるかもしれません。

通常の投資物件と同じく、立地の良い場所を念入りに探さなくてはいけませんし、そのエリアの数十年後の人口や住民層も想定しておく必要があります。入居者がいない場合は、賃貸部分をリフォームして二世帯住宅にして自分の親と住む、また、自分たちが賃貸部分に住んで自宅だった部分は子に与えて、プライバシーが守れる環境で同居するといった活用法もあります。

基本的には自宅なので出口戦略を考えることはないでしょうが、より長く収益を得続けたい、もしくは物件を手放すような事態を避けたいのであれば先を見据えた戦略が必要です。

賃貸併用住宅は、小規模な投資家や投資の初心者にとっては、安いローンや減税の恩恵が受けられる物件として投資価値はあるかもしれません。ただし、初心者向きといってもそれなりにリスクはありますし、また、普通の住宅よりも建築費は高くなります。うまい話に安易に飛び付くのではなく、慎重に検討するべきです。収益が確実に確保できるかどうか、また、できなかった場合のことも想定して購入するようにしましょう。(提供: 不動産投資ジャーナル

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