若年層,消費実態,高級ブランド離れ,クルマ離れ
(写真=PIXTA)

要旨

  • 本稿では、総務省「全国消費実態調査」における30歳未満の単身勤労者世帯の被服費や自動車関係費の変化を確認するとともに、社会背景の変化もあわせて、「高級ブランド離れ」や「クルマ離れ」の状況を考察した。
  • 若年単身勤労者世帯では、男女とも被服費がバブル期の半分以下へ大幅減少していた。背景には、ファスト・ファッションの台頭や消費社会の成熟化により、過去より、お金をかけなくてもハイレベルな消費生活を楽しめるようになったこと、モノがあふれ物質的欲求が薄まった結果、「高級ブランド離れ」をしていることなどがあげられる。
  • 「クルマ離れ」については、娯楽の増加やリスク回避志向の強まりなどからクルマに感じる魅力が弱まっていることを背景に、若い年代ほど運転免許保有率が低下し、「クルマ離れ」をしている様子がうかがえた。しかし、大都市の男性や一人暮らしの男性では「クルマ離れ」が進む一方、一人暮らしの女性ではクルマ利用は増えているなど、若者の間で温度差がある様子も確認できた。

はじめに

「若年層の消費実態」第四弾の本稿では、ファッションや自動車の消費支出について見ていく。これまでと同様、総務省「全国消費実態調査」における30歳未満の単身勤労者世帯の消費支出のデータを用いて、現在の若者とバブル期の若者を対比するとともに、社会変化もあわせて考察する。

世間では、今の若者の「高級ブランド離れ」や「クルマ離れ」などが言われるが、実際はどうなっているのだろうか。