クルマ関係費の変化

◆若年単身勤労者世帯の「自動車関係費」の変化~男性は減少傾向、女性は増加傾向、薄まる性差

次に、自動車関係の支出について確認する。30歳未満の単身勤労者世帯の「自動車関係費」について、1989年のバブル期と2014年を比べると、男性は1.8万円から7.3千円へと半額以下に減少する一方、女性は4.9千円から1.4万円へ大幅に増加している(図表2)。その結果、2014年の「自動車関係費」は、30歳未満の単身勤労者世帯では男女逆転している。

なお、「 若年層の消費実態(1)~収入が増えても、消費は抑える今の若者たち 」でも触れた通り、総務省「全国消費実態調査」では単身勤労者世帯の集計世帯数が減少傾向にある。よって、特に自動車など、高額で購入頻度の低い品目の変化を読み取るには、当該年度だけでなく過去からの傾向にも留意する必要がある。

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1989年から2014年までの30歳未満の単身勤労者世帯の「自動車関係費」の推移を見ると、実質増減率は、男性では2009年までは横ばい・減少傾向で推移し、2014年で大幅に低下している(図表3)。女性では上昇傾向だが、2014年で著しく上昇している。

これは「自動車関係費」の内訳の多くを占める「自動車等購入」において、2014年では男性は0円である一方、女性は7.3千円であることが大きく影響している。また、同様に「自動車関係費」の内訳の多くを占める「自動車等維持」については、2014年では男性は7.3千円、女性は6.3千円であり、男性の方が多い。なお、「自動車等維持」は、1989年以降、男性は減少する一方、女性は増加しており、男女差は縮小傾向にある。また、30歳未満の単身勤労者世帯の自動車保有台数の変化を見ると、男性では減少し、女性では増加した結果、男女差が縮小している(図表4)。

集計世帯数の問題から、2014年の「自動車関係費」の男女逆転については、次回の調査もあわせて傾向を読み取る必要があるが、自動車関連の支出については、男性はおおむね減少傾向、女性は増加傾向にあるようだ。

つまり、一人暮らしの若者では、男性は「クルマ離れ」の傾向があるが、女性は「クルマ離れ」をしておらず、むしろクルマ利用は増えている。その結果、男女のクルマの利用状況は近づいている。

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◆自動車運転免許保有率の変化~若年男女で保有率は低下、女性より男性で低下幅が大きい

「クルマ離れ」については、自動車運転免許保有率でも状況を確認したい。得られるデータの制約上、2001年と2015年の自動車運転免許保有率の比較になるが、自動車運転免許保有率は、男女とも年齢が若いほど低下しており、女性より男性で低下幅が大きい(図表5)。2015年でも全ての年齢階級で女性より男性の方が運転免許保有率は高いが、男女差は縮小している。

よって、自動車運転免許保有率の変化からは、若い年代ほど「クルマ離れ」の傾向が見られ、その傾向は女性より男性で強い様子がうかがえる。

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