開催当時は世界的なデタントの時期
世界では、1973年にベトナム戦争が終結し、ソ連と米国の東西冷戦はデタント(緩和)の時代に入っていた。宇宙開発ではNASAにより初の火星の岩石回収が行われた。新テクノロジーでは、英仏が共同開発した伝説の超音速飛行機コンコルドの初フライトが就航した。中国はまだ第一次天安門事件の頃でエマージング市場という言葉はなく、発展途上国と言われていた。
日本では、1976年2月にロッキード事件が発覚、米ロッキード社が航空機売り込みに関して政財界に過去最大の収賄を送っていたことが判明した。ロッキード事件をめぐって田中角栄前首相など数人の政治家が逮捕されるショッキングな事件となった。政治家の逮捕などで政財界は揺れ動き三木内閣は76年12月に退陣となり福田内閣に引き継がれた。
日本経済はオイルショック後の立ち直り局面
日本経済は、田中角栄前首相の旗振りのもと列島改造ブームに沸いた大好景気を1973年に終え、第一次オイルショックによる景気下降を75年まで経験していた。76年はその後77年まで続く安定成長景気のまっただ中だった。実質GDPの成長率は74年にオイルショックで▲1.2%のマイナス成長のあと、75年は3.1%増、76年は4.0%増、77年は4.4%増と安定成長が続いた。
日経平均株価は、列島改造論に沸く73年に史上最高値の5359円のピークをつけた。その後、オイルショックで74年には3355円まで37%下げている。75年には反発に転じ年末には4358円まで回復、76年は年間15%の上昇となり4990円で引けている。株価は順調に回復し77年には72年に付けた史上最高値を更新する。
こち亀は76年以降、安定成長景気(75-77)→ミニ不況(77)→公共投資景気(77-80)→第二次オイルショック(80-83)、ハイテク景気(83-85)→円高不況(85-86)→バブル景気(87-91)→第一次平成不況(91-93)→カンフル景気(93-97)→第2次平成不況(97-98)→IT景気(99-2000)→第3次平成不況(01ー02)→いざなみ景気(02ー08)→世界同時不況(08-09)→デジャブ景気(09-12)→欧州危機(12-13)→アベノミクス景気?(14ー)と景気上昇9期間、下降8期間のサイクルを経験してきたことになる。
読み返すことは簡単ではないが、現代史を読むよりも、文化史、経済史を見る上で貴重な資料なのは間違いだろう。作者の秋本治さん、「長い間お疲れ様でした。たくさん笑いをありがとうございました」(ZUU online 編集部)