日本生命は9月5日、不妊治療費用を保障する保険を販売すると発表した 。不妊治療を対象とした保険を発売するのは国内初になる。保険の名は「シュシュ」で10月2日から販売される。待望の不妊治療を保障する保険だ。どこに注意が必要なのかを見ていこう。

不妊治療保険導入の背景

不妊治療保険,注意点
(写真=PIXTA)

少子高齢化が進展し、社会保障費の負担も増加の一途を辿っている。少子の原因としては、ライフスタイルの変化によって独身者の増加や共働き世帯が増えたことによって出産の機会が減少し、女性の晩婚化も相まって不妊が増えているということがある。

これに対して政府は、少子化対策として待機児童の解消や育休の積極的活用などを掲げており、その一環として今年4月に不妊治療にかかる費用を補償する民間の医療保険を解禁した。不妊治療は健康保険の対象ではないため1回の治療に高額の費用がかかるからだ。

しかし、不妊治療費を保障する場合、それに加入する人は不妊治療をしたいと思っている人なので、保険会社から見てリスクの高い人が集まることになる。また、どのような治療を何回受けるかも加入者の意思に任されるため、保険金の支払いが多くなることが予想されるので保険会社にとってはリスクが高い。そのようなことから、保険会社各社は積極的に商品開発に取り組んでこなかった。

そんな中、日本生命が国内初の不妊治療費用の保険を販売したということは大きな意義がある。もし、日本生命の「シュシュ」の販売が好調ならば他社も追随してくる可能性があるからだ。

不妊治療保険の内容

不妊治療費の保障という点ばかりが注目されるが、この保険(シュシュ)は死亡した場合はもちろん3大疾病(がん、心筋梗塞、脳卒中)についても保障される。さらに、満期時には一時金が支払われる。

具体的には、がん、急性心筋梗塞、脳卒中の3大疾病にかかるか、死亡した場合には300万円が支給される。不妊治療費用の保険は、すでに不妊治療が必要な女性でも加入できる。ちなみに不妊の理由が男性側にある場合も保障される。

保障内容は特定不妊治療(「体外受精」、「顕微授精」)を行った場合に1回目から6回目が1回につき5万円、7回目から12回目が1回につき10万円が支給される。支払い限度は12回なので最大90万円が受け取れることになる。さらに、不妊治療の有無にかかわらず、被保険者が保険期間中に出産をした場合には、出産給付金として、1回目が10万円、2回目が30万円、3回目が50万円と徐々に金額が上がっていき、5回目以降は100万円となる。

満期になると保険期間が10年の場合100万円、15年間の場合150万円、20年の場合200万円が満期給付金として支払われる。ただ、他の給付金が支払われている場合にはその分は差し引かれるのでその点は注意して欲しい。

加入できる年齢は、16歳から40歳までの女性で、保険期間は10年、15年、20年の3種類になる。ただ、31歳から35歳の人は10年と15年のみ、36歳から40歳の人は10年のみになる。したがって、40歳で加入すれば50歳まで保障を受けられることになる。

保険料は年齢と保険期間によって異なり、月払いの場合9537円から1万869 円の範囲なので、保険料はおよそ1万円と考えておけば良いだろう。

どこに注意するべきか?

(1)単独加入できない
今回発売された保険は、「不妊治療保険」だけ単独で加入することはできず、死亡保障なども含まれている。そのため、すでに生命保険に加入している場合には、余分な保険に加入することにならないか注意が必要である。

(2)待機期間がある
契約から2年間は不妊治療費の保障は受けられない。不妊治療ではできるだけ早く治療することが重要なので、すでに不妊で悩んでいる人の場合に2年間支払いを受けることができないというのはネックになる。また、契約から1年以内の出産の場合には出産給付金支払いを受けることができない。したがって、すでに妊娠している人はこの保険に加入しても当該出産では給付金を受け取ることはできないのでここも注意して欲しい。

(3)支払回数に制限がある
「出産給付金」の支払回数には限度はないが、「特定不妊治療給付金」は12回までと限定されている。そのため、治療回数が12回を超えた場合には経済的負担が発生するので、そこは十分に考える必要がある。

(4)年齢制限がある
生命保険なので年齢制限があるのは他の保険と同じであるが、この保険は不妊治療や出産に対する給付金があるので、加入できるのは40歳までに限られている。晩婚化で不妊治療をしている人は41歳以上にも多くいるので、それらの人は加入できないというところは注意が必要である。

「特定不妊治療」は公的な健康保険の対象外で、治療1回あたりの患者負担は30万円以上と高額になる。公的助成制度はあるもののそれでも高額な自己負担は免れない。その意味で民間保険を利用することで月1万円の負担で一定の給付金が支払われるのは助かるだろう。もっとも、上記注意点があるのでその点を踏まえて加入するかどうかは慎重に検討して欲しい。(ZUU online 編集部)

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