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(写真=PIXTA)

さいたま地裁は8月26日、携帯電話の所持が放送法上の「受信設備設置」には当たらないとする判断を示した。NHK側の主張を退けた格好になるが、これに対し高市早苗総務相は9月2日の閣議後の記者会見で「携帯用の受信機も受信契約締結義務の対象と考えている」と述べた。

公共放送として維持するために

これに先立ちNHK経営委員会の石原進委員長は9月13日の経営委員会後、ネット配信による番組視聴の受信料については「公共放送として維持していくには、何らかの形で頂くことは当然必要になる」との見解を示しながらも、制度改正が必要との考えを示した。

高市早苗総務相はこれに対し、総務省の有識者会議で財源の在り方について今後、受信料制度の中での位置付けも含めて「今後も(有識者会議で)議論を行っていただく」とし、ネット配信を含めた業務、受信料、経営の三位一体改革が必要」との見解を強調している。

パソコンや携帯電話で放送を見る場合の受信料は必要か

放送法第64条では、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」としている。NHKテレビの視聴が可能なパソコンであれ、テレビが見られる携帯電話であれ、受信料を払わなければならないと規定しているように読める。

ただし、受信契約は世帯単位なので、一般家庭の場合、複数台のテレビを所有しようがパソコンやテレビ付き携帯電話が有ろうが必要な受信契約は1件となる。

一般家庭と違う事業所の場合は、設置場所(部屋など)ごとの受信契約が必要となる。したがってこの場合は、ひとつの部屋に、テレビや受信可能なパソコンや携帯などが複数あっても部屋で必要な受信契約は1件ということになっているのだ。

NHK受信料を払わなくていい世帯と契約解除の方法

実はNHKの受信料というのは番組視聴に対する料金ではなく公共放送を維持するための負担費用。納得いかない人もいるだろうが、「NHKを見ないので、受信料は払いません」という言い分は通らないことになる。

受信料の支払いは国民の義務かといえばそれも違う。受信機を持っていて、テレビ放送を“受信できる状態”であれば契約を結ばなければならないことになるのだ。
受信料を支払う必要がないのは、受信機がない場合とテレビ放送受信不可の受信機しかない場合だ。たとえば「テレビは持ってるが一切見ない」という場合は、契約の必要がある。しかし受信機はあるが放送を受信できない状態なら、契約する必要はない。

放送を受信できない状態とは、例えばアンテナがない場合がある。ただ「簡単に設置できるもの」が無いだけなので、受信機がないという判断にはならないだろう。また「テレビはDVDやゲーム専用」と言っても通らないはずだ。

しかし受信機が壊れている場合は放送を受信できないので契約の対象外。免除規定に該当する。この場合は受信料の全額または半額が免除される。

ただし、契約の義務が発生しないというわけではなく、契約を結んだうえで受信料が減免されるという仕組みになっている。

受信料の免除規定に該当するのは、生活保護世帯など一部の世帯だけ

全額免除となる世帯は、生活保護世帯、市町村民税非課税で身体障害者を含む世帯、市町村民税非課税で知的障害者を含む世帯、市町村民税非課税で精神障害者を含む世帯、社会福祉事業施設(老人ホーム等)入所者となっている。

次に半額免除となる世帯は、視覚・聴覚障害者が世帯主かつ契約者の世帯、身体障害者(1級または2級)が世帯主かつ契約者の世帯、重度の知的障害者と判定された人が世帯主かつ契約者の世帯、精神障害者(1級)が世帯主かつ契約者の世帯、戦傷病者(特別項症から第1款症)が世帯主かつ契約者の世帯となっている。

このようなことから、単に「生活が苦しいから見てない」とか「所得が低く払えない」といった理由だけでは免除してもらえない。

廃棄、故障などにより解約する場合

解約には、契約者がNHKに電話し解約希望の意思を伝え、解約届の用紙を送ってもらい、用紙に記入してNHKに返送する。審査後に解約が成立するのだが、条件としては住居に誰も居住しなくなる場合や、廃棄、故障などで放送受信契約の対象となるテレビが無くなっている場合だ。

話をスムースに進めたいなら、受信機がないことを証明する書類があると強いので、例えばリサイクル券や買い取り証明書のような書類を用意できる場合は、NHK側に伝えると話が早く進むことになるので、受信機がないことを証明する書類があると強い。

受信機を誰かに譲ってなくなる場合もあるので、その時は、NHKに譲渡先の住所や連絡先を伝える必要がある。事前に譲渡相手にNHKから問い合わせが来るかも知れないことを連絡して置くと良いかもしれない。(ZUU online 編集部)