よみうりランド,グッジョバ,キッザニア,人気の理由,ヒットの秘密
(画像=Webサイトより)

東京都稲城市と神奈川県川崎市多摩区またがる場所にあるテーマパーク「よみうりランド」が好調のようだ。入園者数は右肩上がりで、もうすぐ年間200万人の大台を突破しそうだという。なぜここに来て人気なのだろうか?

よみうりランドの人気を支える施策

1964年開園、株式会社よみうりランドが運営する「遊園地よみうりランド」。入場料は大人1800円、中高生1500円、子供が1000円、シルバー(65歳以上)は800円だ。

入園者数を増やすためのいくつかの施策が実施されている。代表的な取り組みとしては「ジュエルミネーション」と「グッジョバ」がある。

ジェルミネーションは2010年から取り組まれているイルミネーションイベントである。10月~2月頃までに実施されているイベントで、400万球ものLED電球を使ってよみうりランド全体を彩っている。東京だけでなく、全国のイルミネーションスポットの中でも上位人気を誇るイベントだ。

また2016年3月からグッジョバが取り組まれ始めた。グッジョバは工場見学などができる体験型娯楽施設である。今までのテーマパークから一転して、入園者が積極的に遊べるような場を設けた。これが人気を呼ぶ要因になったのである。

アトラクションと職業体験スペースがある

グッジョバには15種類のアトラクションと4つの工場が建設されている。その工場内では「自動車」「製麺」「ファッション」「文具」に関するモノづくりを体験することができる。

自動車は日産自動車 <7201> が協賛企業で、自動車製造の一連を体験できる。具体的には自分で好きな部品を組み合わせて自動車を製造したり、試乗したりすることもできる。制限時間内に作ることが求められるため、仕事場さながらのスピーディさが要求されるのも面白いポイントだ。

製麺の協賛は日清食品 <2897> で、オリジナルのカップ焼きそばを作ることができる。12種類の具材と4種類のスパイスから焼きそばを試作する。オリジナリティあふれるため、個性や感性を刺激できる職業体験スペースとなっている。

このような職業体験スペースが設けられており、子供連れの家族を中心として入園者が増えている。

職業体験型の娯楽施設が人気の背景は?

職業体験型などができる教育関連施設が人気になっている背景には「子供にとって貴重な体験ができる」からだ。

今までのテーマパークには、娯楽施設として「楽しみ」を提供することが求められてきた。その結果、観覧車やジェットコースターなどの乗り物、イベントやショーなどの見せ物を提供してきた。このように楽しみを享受できるテーマパークが人気を集めていた。

けれども、昨今では入園者が工場見学や職業体験をするタイプのテーマパークが人気を集めている。これは単に楽しいだけでなく、親御さんが子供たちに何か体験・経験させたいと価値観が変化したからだ。

この価値観の変化が決められた遊びを提供するテーマパークではなく、入園者自らが積極的に楽しむテーマパークの人気の背景になったのである。

他の職業体験型の施設との違いは?

職業体験型の娯楽施設といえば「キッザニア」が先駆者に挙げられる。キッザニアは職業体験ができるように建設された娯楽施設で、約60種類もの職業体験ができる。国内では、東京・豊洲と兵庫・西宮にある。

その職業も消防士やパイロットなど専門性が高いものが多く、子供の将来に貢献するようなものが多く設置されている。このように、よみうりランドのライバルとなるテーマパークは他にもある。

一方、よみうりランドは「遊園地」としての位置付けを重視している。グッジョバもエンタテイメント性が高く、その上で「職業体験」もできる娯楽施設なのだ。つまり、よみうりランドでは「学び」と「遊び」の2つがあるのだ。この点に既存の職業体験型の娯楽施設との差異がある。

グッジョバの成否を占う課題とは

よみうりランドが建設したグッジョバは、昨今人気の職業体験型の娯楽施設である。しかし、遊園地としての一面も持っており、果たして入園者に受け入れられるのかが重要なポイントとなりそうだ。

また、グッジョバの建設に当たって約100億円の巨額を建設費用に投じた。その結果、入園料金が1日の入園料金を大幅に値上げした。その結果、果たして客足が増えるのか、それとも遠くなるのかは問題となりそうだ。

しかし、最近の入園者数を見る限りでは、増加傾向にあるようなのでこのまま維持できるようにしてもらいたいものだ。

よみうりランドが新たに建設した「グッジョバ」について見てきた。社会の変化、価値観の変化とともにテーマパーク事情も大きく変わっている。今後、よみうりランドの新たな取り組みは注目すべきことだろう。もしご家庭にお子さんがいるのであれば、是非一度足を運んでみてはいかがだろうか。(吉田昌弘、フリーライター)