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堅調な株式市場の中で放置されている大手商社株

第2次安倍政権が誕生してから株式市場は堅調を維持しています。2013年末には一時16,000円台を突破した日経平均株価は、その後、14,000円まで下がったものの、最近では15,000円を回復するなど、一定のボックスの中で動いており、15,000円を突き抜けてさらに上昇するかどうかといったところに注目が集まっています。この間、不動産会社、ゲームアプリ会社、バイオ関連会社などの間を資金が行き来し、大きく上昇する銘柄もしばしば見られました。中にはPER、PBR等の投資指標からみると明らかに割高であるものの、勢いそのままに上がり続けるような銘柄もありました。

そのような中で地味な動きを見せているのが大手商社株です。三井物産、三菱商事、住友商事、伊藤忠商事、丸紅といった誰もが知る銘柄が、投資指標からみるとかなり割安な状態で放置されています。なぜ、この大手商社銘柄に資金がなかなか向かわないのか検証しながら各商社が最近打ち出している株主資本効率化の動きを追ってみました。


(1)商社が歩んできた歴史

個人的には大手商社銘柄が割安に放置されている理由の1つに商社の歴史があるのではないかと考えています。商社は一昔前まで今とはだいぶ異なった事業展開となっています。以前は「仲介」が事業の主でした。つまり、メーカーと流通業者などの間に入って国内外で取引を行って、そこで手数料を稼ぐというのが商社の仕事でした。金額が大きくても手数料はごくわずかであり、売り上げが大きい割には利益が少ない企業でした。特にバブル崩壊後、「商社冬の時代」と言われる時期があり、バブル崩壊による不良資産の処理のみならず、メーカーが少しでも利益を稼ごうと、仲介者である商社を間に入れず、直接取引をするようになったり、取引をしていた商社の数を減らしたりする動きが見られました。この時代はメーカーの就職説明会に行けば、「商社不要論」が実しやかに語られたりもしていました。この「商社冬の時代」「商社不要論」がどうしても拭いきれないでいる投資家もいるのではないでしょうか。


(2)商社に対する見方を変えるべき

もしも、このような見方をしているのであれば、商社に対する見方を変える必要があります。今や商社は「ミネラルウオーター」から「人工衛星」まで何でも扱う事業会社となりました。そして、ただ単に仲介をしているわけではありません。産業の川上から川下まで抑え、その事業に積極的に関わり、あらゆる段階で利益を上げようとしています。ただ、どうしても商社につきまとうのは、「資源株」という見方です。

仲介ビジネスでの収益が期待できなくなった商社は資源分野(石炭、鉄鉱石、石油、LNG、LPGなど)への投資を積極化しました。石油価格の上昇などを受け、商社もその恩恵を少なからず受けましたが、その後に待っていたのが「石油などの資源価格に左右されるのではないか」という見方です。商社株に懸念を抱く投資家の多くはどちらかといえばこちらの懸念の方が強いのではないでしょうか。ただ、商社側も資源分野への投資による好業績に胡坐をかいているわけではありません。