総合商社


投資先として魅力的!?

PER8.5倍以下、PBR1倍以下、ROE8%以上、配当利回り3%以上、時価総額5,000億円以上という条件でスクリーニングをかけると5社の名前が挙がってきます(平成26年6月9日時点/SBI証券にてスクリーニング)。これだけの投資指標を満たす銘柄はなかなかありませんが、この5社はいずれも同じ業界です。その5社とは伊藤忠商事< 8001 >、丸紅< 8002 >、三井物産< 8031 >、住友商事< 8053 >、三菱商事< 8058 >です。

大手総合商社はいろいろな事業投資を行っており、少なからず自分たちの身近なところでも接点があります。なぜ、好調を続けているこの総合商社5社が割安に放置されているのか、その理由は前回検証してみました。今回は大手総合商社各社の魅力について確認していきたいと思います。なお、文章中の予想PER、実績PBR、予想配当利回りは平成26年6月9日終値を基に算出した数値です(SBI証券調べ)

【前回記事】
なぜ堅調な株式市場で大手商社株は割安なのか?


①三菱商事

予想PER8.45倍、実績PBR0.71倍、予想配当利回り3.43%です。 総合商社首位であり、三菱グループの中核を担う企業です。資源はもちろんのこと、機械、化学品、食品などの分野に強いです。三菱の名前が入らないところでは、イオン< 8267 >、ローソン< 2651 >の筆頭株主として有名です。その他にも伊藤ハム< 2284 >、ライフコーポレーション< 8194 >、日本KFCホールディングス< 9873 >、六甲バター< 2266 >等の筆頭株主又は大株主でもあります。なお、株主還元については、600億円を上限とする自社株買いの発表をしたほか、1株当たり50円の安定配当を算定し、3,500億円を超える部分については、少なくとも連結配当性向30%で株主還元を行うことを表明しています。


②三井物産

予想PER7.33倍、実績PBR0.77倍、予想配当利回り4.13%です。 三菱商事に匹敵する総合商社です。鉄鉱石、石油の生産権益量は商社の中でずば抜けており、資源依存度は比較的高いと言えます。しかし、その内情を見てみますと、ここ2~3年の資源投資は新しい権益への投資ではなく、既存権益の拡張がメインとなっており、手堅く投資してきたと言えます。傘下企業には、もしもしホットライン< 4708 >、かどや製油< 2612 >、東京鋼鉄< 5448 >など小ぶりな上場企業も見られます。株主還元策として中期計画で配当性向30%を打ち出しており、また2月には上限500億円とする自社株買いをすることも発表しています。


③住友商事

予想PER6.77倍、実績PBR0.7倍、予想配当利回り3.7%です。 鋼管・鋼材に強みを持っており、CATVなどのメディアなどにも強いです。最近ではKDDIと共に、ジュピターテレコム(J:COM)を買収・非上場化して、その運営に乗り出しました。SCSK< 9719 >、日新製糖< 2117 >、ティーガイア< 3738 /三菱商事と同比率で筆頭株主>などが傘下にあり、消費者に近いところでは、ジュピターテレコムの他、ドラッグストアチェーンのトモズ、衣料品を展開するバーニーズジャパン、食品スーパーマーケットのサミット、マミーマートがあります。2013年4月からスタートした中期経営計画では配当性向を25%としています。


④伊藤忠商事

予想PER6.49倍、実績PBR0.9倍、予想配当利回り3.74%です。 三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅とは異なり、非財閥系の大手総合商社です。衣料や中国ビジネス強い点が特徴と言えます。伊藤忠という名前が付かない企業では、ファミリーマート< 8028 >、オリエントコーポレーション< 8585 >、プリマハム< 2281 >、東京センチュリーリース< 8439 >の筆頭株主となっています。また、2012年12月にはアメリカのドールフードカンパニーを買収しています。株主還元については、自社株買いよりも増配で対応をするとしており、「株主帰属当期純利益が2,000 億円/年までの部分に対しては連結配当性向20%、2,000 億円/年を超える部分に対しては連結配当性向30%を目処」としています。


⑤丸紅

予想PER5.67倍、実績PBR0.9倍、予想配当利回り3.62%です。 芙蓉グループの総合商社です。穀物取扱量は年間約2,500万トンと総合商社トップです。2013年7月に米ガビロンの穀物・肥料部門を買収したことが記憶に新しいところです。東武ストア< 8274 >、日清オイリオグループ< 2602 >の筆頭株主となっているほか、マルエツ< 8178 >、相鉄ローゼン等にも投資をしています。丸紅の配当政策は各期の業績に連動させる考え方を取り入れており、連結配当性向20%以上とすることを基本としています。なお、株主資本比率は2014年3月期で19.1%となっており、他の4社と比べると、財務健全度では若干見劣りします。




今後、増配、自社株買いの可能性も!

大手総合商社の中には、各社の紹介で述べました通り、株主還元に積極的になってきた企業もあります。ROEという投資指標が各社を積極的な株主還元に駆り立てているのです。そのうえ、事業基盤が更に安定し来れば、公約の安定配当も増えていくかもしれません。大手総合商社の魅力は何と言っても多岐にわたる事業投資です。多角経営というと不安に思う方もいるかもしれませんが、大手総合商社の関わり方は、自らが前面に出るのではなく、投資した先同士をつなげて相乗効果を生ませ、投資先が収益を上げることで自身も恩恵を受けるといった形のように考えられます。産業のプロデューサーと言ってもいいでしょう。今までは資源分野に偏りがちだった面も少しずつ解消されてきています。今までは、どちらかといえばキャピタルゲインを狙う銘柄として見られていましたが、これからは、安定配当銘柄として見られる日が来るかもしれません。

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