米国のリサーチ会社が調査した、2015年度の米国大富豪による寄付金ランキングが発表されている。それによると、1位はウォーレン・バフェット氏で28億4000万ドルを寄付、2位がビル&メリンダ夫婦で14億ドルを、3位がジョージ・ソロス氏で6億5400万ドル……と続く。いずれにせよ、われわれからすれば、想像もつかないような金額であることは間違いない。

この記事を見て、一般人が感じることとは、「こんな大金を寄付するなんて、本心からやっていることなのか?」ということだろう。これについて考えてみよう。

大富豪たちが寄付をする3つの理由

大富豪が多額の寄付をする要因として、筆者が考える理由は3つある。

それは、
(1)寄付が文化として根づいている
(2)節税対策
(3)いいことと悪いことのバランスをとるため
の3つである。これについて、見ていくことにしよう。

まず、彼らの思想的背景には、キリスト教がある。彼らにとっては、寄付や募金、ボランティア活動などをすることは日常の一部なのである。

OECD(経済協力開発機構)が2011年に発表した各国の幸福度調査よると、米国はOECD諸国の中でも、ボランティア活動に参加する人がもっとも多く、1ヶ月の間に「募金活動や何らかのボランティア活動に従事した」と答えた人が60%にものぼっている(日本人は26%)。

ところで、米国人にとって、寄付とは必ずしもお金を出す行為だけを指しているわけではない。たとえば米国には、不要になった家具や日用品、洋服などをまとめて引きとってくれるスリフトショップというリサイクル店がある。お店は主に慈善団体が運営しており、そこへ品物を持っていくと、品物の代金相当の寄付をしたという明細書を書いてくれるようになっている。

そんな明細書を何に使うのかというと、米国では、個人が税務申請を行うようになっているため、その明細書を持っていくと、税控除の対象として認められるのである。