10月14日、東洋水産 <2875> と味の素 <2802> は、2014年に設立した合弁会社「マルちゃん味の素インド社」で、11月から即席麺を現地生産・販売すると発表した。
筆者としては、インド料理で麺類を見た記憶がない。そもそも、インドで即席麺は売れるのだろうか……そんな疑問を抱く読者も少なくないかもしれない。しかし、そんな疑問を吹き飛ばすほど、インドの即席麺市場は急成長している。
今回は「即席麺戦国時代」の様相を呈するインドに焦点を当ててみよう。
インドの即席麺は年間20%のペースで成長
中国、韓国のほか、ベトナムやタイでもアジア料理には美味しい麺料理がある。ただ、先に述べた通り、筆者はインドで麺料理を見た記憶がない。伝統的なインド料理は手で食べる習慣があるため、汁麺は難しいとの先入観を抱いていた。
しかし、実際にはインドの中間購買層の拡大を背景に、即席麺市場も成長している。インドの即席麺の市場規模は約500億円程度。日本の約5000億円に比べると10分の1程度だが、若者を中心に年20%のペースで拡大している。インドは人口13億人の巨大市場だけに、ポテンシャルは大きい。
インド即席麺市場のトップは意外な「あの会社」
ちなみに、インドの即席麺市場でトップシェアを握っているのは、意外にも日本企業ではない。世界的な食品会社であるスイスのネスレだ。ネスレ傘下のマギーの即席麺は一時期マレーシアで約40%、インドで約70%を超えるシェアを占め、インスタントヌードルの代名詞的な存在となっていた。
その王者マギーにトラブルが発生したのは、昨年6月のことだ。インド食品安全基準局から「マギーの食品に過度の鉛が含まれている」として販売停止を命じられたのだ。11月には販売再開となったが、マギーの即席麺市場におけるシェアは2015年1月の77%から、2016年1月には42%まで大幅に縮小した。
マギーがトップシェアにあることに変わりはないが、競合他社にとっては大きなチャンスでもある。インドの食品会社ITCや、日清食品 <2897> 、そしてマルちゃん味の素インド社などが入り乱れ、さながら群雄割拠の「即席麺戦国時代」の様相を呈している。