味の素がインド進出に本腰を入れた理由とは?

日清食品と味の素は、ブラジルの合弁会社「日清味の素アリメントス(NA社)」で乾燥麺の発売を始めて40年以上の蜜月関係にあった。NA社はブラジルの即席麺市場において、約65%のシェアを有するトップカンパニーでもある。その蜜月関係に終止符が打たれたのは昨年のことだ。

NA社は日清食品の100%子会社となり、海外売上の強化を打ち出す日清食品の重要な拠点としての役割を担うようになった。

もともと日清食品にはNA社を100%子会社化の意向があったとされ、味の素もそうした事態を想定し、ライバルの東洋水産と合弁会社を作りインド進出に本腰を入れ始めたと見られる。

東洋水産の株価はカップ麺の好調で2桁増益

7月29日、東洋水産は2017年3月期の第1四半期決算(4〜6月)を発表した。

売上は1.2%減だが、本業の利益を示す営業利益は17.4%増と好決算だった。基幹商品である「赤いきつね」「緑のたぬき」などの和風麺シリーズや「麺づくり」「マルちゃん正麺 カップ」「ごつ盛り」などが好調に推移している。

決算は東京市場の場中に発表されたため、東洋水産の株価は7月29日同日に5.7%高となり、年初来高値の4615円を付けている。8月8日には4035円の年初来安値まで下げたが、その後の足取りは堅調だ。

ガラパゴス化を防いだ即席麺市場

即席麺はもともと日本独自で発達した「食文化」であり、他の日本製品にありがちな「ガラパゴス化」しかねない状況にあった。そうしたなか、日清食品は乾燥麺を開発したパイオニアとしてイニシアティブをとり、ローカライズすることで即席麺の国際化をすすめることに成功したのだ。

インドで販売している日清食品のカップヌードルは、ベジタブルが中心だ。これはヒンドゥー教徒が牛肉などを食べられないことに配慮したものである。手で食べられるようにスープは少なく、麺もお湯を吸収し易いものになっている。

インドの人々に長く愛されるラインナップを

一方、「マルちゃん味の素インド社」のインドで製品化するラインナップは現時点で正式に発表されてはいない。ただ、インドの人々に長く愛されるようにローカライズすることが大きな課題となることは間違いない。

筆者の知る限り、日本を訪れたインドの旅行者にも日本製のカレーやうどんは好評である。そう考えると、マルちゃんのカレーうどんがインドの人々のお気に入りになる日も近いのかもしれない。(ZUU online 編集部)