日本車

日本国内の自動車・二輪車メーカー14社が日本自動車工業会の主導により自動車部品の標準化を進める為に「国際標準検討会」を立ち上げる事が発表されました。モノづくり大国である日本は電子機器、半導体、自動車等では世界最先端の技術を持っていますが、欧州などに比べるとメーカー同士の横のつながりが薄く日本メーカーは標準化・規格化という作業が苦手なようです。 自動車に使用する電子部品の安全規格等については軒並み欧州主導の規格が世界標準として採用されています。日本の自動車メーカーは世界で35%以上のシェアを持っていますが、この弱点を克服し汎用性が高い部品を中心に標準化を進めさらに競争力を高める考えの様です。

主に標準化を進める項目は①電気・半導体を構成する部品、②金属・樹脂材料、③設計ツール、④自動運転に関する評価方法、の4項目について検討を進めていくようです。これにより開発・生産コストの低減を図る目論見ですが、日本の自動車メーカーはそれら4項目についてノウハウを公開出来るかという点が課題となりそうです。

社会の発展の為には人間の安全を担保できる信頼性の高い技術が必要ですが、各メーカーはこれまで膨大な金と時間と投資をして技術開発をしてきました。各メーカーとも技術開発の成果を戦略的に特許で固めたりする事で競合優位性を保ってきた為、標準化により企業の競争力が削ぎ落とされてしまう事が懸念されます。また、自動車メーカーを支えるサプライヤーにとっては生死を分ける事態に発展する可能性があります。例えば自動車メーカーで使用されている設計ツール(三次元CADシステム)は非常に高価である事もさることながら高機能であるが故に熟練度を向上させる為にはかなりの時間がかかります。この様に設計ツール1つ取ってみてもサプライヤーにはお金だけでなく必要な人材が揃っていないと標準化に対応する事が出来なくなってしまう事が分かります。

さらに日本で決めた規格を世界標準とする事で欧州(特にドイツ)から主導権を取り戻したい日系自動車メーカーですが、標準化の過程においては各企業の本音と建前が見え隠れするのは必至で今後の具体的な進め方に注目が集まりそうです。特に自動運転に関する評価方法については今後の新しい技術となる為、世界中の自動車メーカーが鎬を削って技術開発を行っています。日系自動車メーカーとしてはこの項目について世界中に先駆けてデファクトスタンダードとなれるかがキーポイントになりそうです。

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