サイゼリヤ,増収増益
(画像=Webサイトより)

長く日本経済を停滞させる要因の1つでもあったデフレの脱却に向け、日本銀行は異次元の金融緩和に乗り出したが、原油安の影響などから目標達成時期が後ずれし、さらに「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」という短期政策金利のマイナス金利を維持しながら10年国債利回りを0%に誘導する新たな枠組みを導入した。

しかし、不透明感が漂う状況下では、消費者の財布の紐は固くなり、各企業も売上ダウンなどの影響を受ける。しかし、低価格のイタリア料理を展開するサイゼリヤ <7581> は、厳しい景況感をものともせず、24期連続で増収を積み上げている。消費者の心をつかみ続けられる秘訣は何なのか。

競合は低迷、純利益45%アップ

サイゼリヤの2016年8月期連結決算によると、売上高が前年同期比4.1%増の1449億6100万円、営業利益が19.9%増の90億600万円、純利益が同45.9%増の55億500万円となった。連結での売上高
は過去最高を更新するなど好調さをキープしている。

同決算では、台風の影響などから8月の客数は前年同月比で0.9%減少し、売上高も同0.2%アップの微増にとどまった。しかし、9月に入ると、客足は徐々に戻りはじめ、客数は同2.6%、売上は同3.1%増と再び上昇気流に乗り始めた。こうしたトレンドはファミリーレストラン業界共通というわけではなさそうだ。すかいらーくグループ <3197> が展開するガストは、9月の客数は前年同月比で3.2%落ち込み、売上高も同5.9%減とさえない。

こうした事態を受け、9月下旬にメニューを刷新して来客アップにつなげる狙いだ。また、ロイヤルホストも9月は、客数・売上高がともに前年同期比6.2%減となり、景気が足踏みを続ける状況で、消費者の節約志向が響いた。