日本食に欠かせないしょうゆは、日本人にとってのソウルフード的調味料といえる。しかし、しょうゆの出荷量は年々減少しており、そこから昨今の減塩志向によるものと思われる「日本人のしょうゆ離れ」が見てとれる。

ここでは、しょうゆについての最新のアンケートをもとに、現代日本人のしょうゆへの意識を探るとともに、「しょうゆは冷蔵庫に入れるべきか否か?」「しょうゆは腐るのか?」といった素朴な疑問についても明らかにしていこう。

東北で高い、しょうゆの使用頻度

食文化,しょうゆ,調味料
(写真=PIXTA)

マイボイスコムが1万人以上を対象に実施した「しょうゆに関するアンケート調査(第2回/2016年9月実施)」によると、自宅でのしょうゆの利用頻度は「ほとんど毎日」が4割強、「週4〜5回」「週2〜3回」が各2割強であり、東北では他地域より利用頻度が高い傾向となった。これは、寒い東北地方で塩分の強い料理が好まれることに関係するだろう。

しょうゆ使用者のうち、「こいくちしょうゆ」が6割強、「うすくちしょうゆ」が約26%、「減塩しょうゆ」「丸大豆しょうゆ」「だし入りしょうゆ」「さしみ醤油」が各10%台という結果に。そして、5割強が「用途に関わらず同じ種類を使う」、4割弱が「用途によって種類を使い分ける」ということが分かった。

実は「うすくちしょうゆ」のほうが塩分濃度は高い

商品を選ぶときの重視点としては、「味」「価格」のほか、「しょうゆの種類」「大豆の種類」「原材料」「塩分控えめ、減塩」「容量、サイズ」「使い慣れている」「メーカー、商品ブランド、生産者」などが各2〜3割で上位に挙がった。商品の多様化と連動して購入時の重視点も多様化しているようだ。

よく誤解されるところだが、「うすくちしょうゆ」は味ではなく色が薄いしょうゆのことであり、料理の素材の色を美しく見せるために考案されたものだ。そして、少ない使用量で済むように塩分濃度は「こいくちしょうゆ」よりも高い。

一見、「うすくちしょうゆ」のほうが、その語感から塩分控えめという印象があるので、うっかり使いすぎないよう注意が必要だろう。

しょうゆは冷蔵庫へ入れ、開栓後1ヵ月で使い切るのが理想

このアンケートで興味深いのは、しょうゆ開封後の保存方法についての項目。「冷蔵庫へ入れる」が5割弱、「冷暗所に保存」「常温で保存」が各3割強という結果であり、どうやら、しょうゆは冷蔵庫に入れる、というのが常識になりつつあるようだ。一昔前はしょうゆといえば流し台の下などに常温保存するのが常識という印象だったが、はたして、しょうゆはどのように保存すべきなのか?

しょうゆは塩分濃度が高いため保存食品とされている。保管場所としては冷暗所が最適だが、流しの下などは地域や季節によっては冷所とはいえないので、開栓前であっても冷蔵庫に保存したほうが無難だ。そして開栓後は酸化による風味の劣化を遅らせるために冷蔵庫へ入れ、消費期限にかかわらず、開栓後1ヵ月ほどで消費しきるのが理想だ。

逆に言えば、安いからという理由だけで大びんを買うのではなく、風味を重視するなら1ヵ月で使い切る量の商品を買うのがいいということになる。もちろん、しょうゆ差しに入れたものも冷蔵庫保存が推奨される。

アンケートでは、購入しているしょうゆの容器タイプについて、「ペットボトル 1リットル以上」が使用者の5割弱、「スタンドパウチ、パック型」は約9%という結果となっている。一方、一般家庭での年間しょうゆ消費量は1人あたり2リットルといわれることから、味を重視して1ヵ月以内に使いきるなら、1リットル以上の容器のしょうゆは少人数の家庭にはやや大きすぎるといえそうだ。

しょうゆは腐らないが風味は落ちる

しょうゆの色が黒くなってきたら風味が落ちている証拠。しかし、基本的にしょうゆは腐ることがないので使用しても支障はない。また、しょうゆの表面に白いカビのようなものが浮くことがあるが、これは「産膜酵母」と呼ばれる酵母の一種であり食べても問題はない。ただ、これが繁殖すると旨味成分が減ったり香りを損ねたりするので、早めに取り除いたほうがいいだろう。

なお、風味が劣化してしまったしょうゆであっても、加熱すると良い香りが引き出されるため、焼肉のタレや佃煮のような煮詰める料理や、みりんやだしと一緒に煮物などに使うと、その風味の劣化をあまり気にせず使うことができる。

年々減るしょうゆの出荷量

日本ではしょうゆの出荷量は年々減り続けており、このアンケートでも2013年9月に実施した第1回のときには「しょうゆが好き」と答えた人が50.8%であったのに対し、今回は45.9%と減少している。

この背景には日本人の減塩志向があるとみられるが、日本料理や中華料理だけでなく、さまざまな種類の料理に豊かな風味を与えてくれる調味料であるだけに、使用量を考えて賢く使いたいところだ。(ZUU online 編集部)

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