不良債権問題

不良債権とは焦げ付いてしまった融資や、取得価格から大きく目減りしてしまった土地・株・証券等を指します。その中でも特に巨額のマネーが流入してきたのが不動産市場です。サブプライム問題同様に土地の価格は大幅には下落しないと言った土地神話的な言い伝えが投機の上に投機を呼んだようです。

この不良債権の処理に当たっては皆さんがご存知の通り、私達の税金からなる公的資金が使われる事になりました。その額は総額で46兆円強となり、その内の10兆円近くは返済不能となり国民が負担しなければならない事態となったのです。銀行は土地を担保にして巨額の融資を行っていました。当時の審査基準が甘かったというのもありますが、融資が焦げ付いた時に担保にしていた土地もバブルがはじけたせいで資産価格が目減りしてしまいその損失を埋める事が出来なかったのです。さらに長期間にわたり景気が低迷した為、銀行の体力はみるみる低下していき、公的資金の登場となったのです。


特効薬のない厄介な病気

バブルがはじけた後の日本経済は例えると特効薬のない厄介な病に取りつかれてしまいました。不良債権を抱えた銀行や企業は処理に困りましたが、どうする事も出来ませんでした。不良債権の行き先は3つしかありません。

1つ目は不良債権を売却する事、2つ目は融資先に民事再生法を適用する事、3つ目は債権の一部を放棄する事の3択になりますがどれも大きな損失が発生します。それ故公的資金が適用されない中小銀行・企業は袋小路に入ってしまったのです。時の総理であった小渕総理はこの対策として実に様々な物を実施してきましたが、殆ど効果が出なかったというのが世間の認識です。20兆円規模の公共事業や所得税、法人税等の減税法案の適用、60兆円規模の金融再生トータルプラン、商品券の発行、さらに2千円札を作ったのも小渕首相です。

これらの多岐に渡る景気刺激対策はバブル後の冷え切った消費者のマインドを変えるには非常に力不足で、しかも的を射ていない物ばかりでした。20年たった現在においては失われる時間が常態化してしまい、政府・日銀による低金利政策で金利が0.1%になっても活発な投資がされず、経済活動は停滞したままです。


失われるかもしれない30年

バブル崩壊後10年が経った時、「失われた10年」という言葉が世間を風刺して話題となりました。しかし、この後さらに10年が失われる事など誰も考えられなかったと思います。日本のバブル崩壊後20年で世界金融危機が起きました。世界中で矛盾した金融システムがもう一段下に崩壊する可能性も十分に考えられる事です。常にそんな危険背中合わせである事を忘れてはならないのです。

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