医療保険,必要性
(写真=Thinkstock/Getty Images)

国内で第三分野保険、つまり民間医療保険が認められたのは2001年と存外日が浅い。以降、日本においては医療保険に加入すべきであるという風潮が主流であった。だが昨今インターネットの普及に伴い、医療保険の必要性について取り沙汰される機会が増えてきた。

そこで今回は、医療保険が必要とされる理由、不要とされる理由それぞれについてまとめることで、医療保険に対する理解を深めようと思う。現在医療保険に加入している方もしていない方も、今後医療保険について見直す上での参考にしていただければ幸いだ。


医療保険が必要な人、不要な人とは

医療保険に限らず、保険商品というものは万が一の備えという性質を持っている。それはいわば実用的なお守りのようなものであって、保険加入による損得を論ずることにあまり意味はない。定期保険や養老保険など、積み立てにより利益を得ることができる保険商品も確かに存在するため混同してしまいがちだが、それらの保険と医療保険はそもそも分類が異なる。

冒頭で示した通り医療保険は第三分野保険として位置づけられているもので、第一分野保険である定期保険や第二分野保険である自動車保険などと比べることにあまり意味はないだろう。このような理由から、本記事では医療保険についてあくまでも「必要か不要か」でアプローチする。

さて、ではまず医療保険が必要な人はどういった人だろうか。これは端的に言って、「余裕がない人」だ。ここでいう余裕とは、精神的、金銭的、いずれかあるいは両方を含む。急なリスクに対応できるだけの体力を持ち合わせていないのならば、支えを用意してしかるべしということである。

逆にこれが不要な人は、当然「余裕がある人」だ。短期的な入院くらいならば気にならない程度の貯蓄さえあれば、わざわざ医療保険に頼る必要はあまりないというわけだ。あるいは、会社員であれば福利厚生によって医療保険に入るまでもない手厚い保障が用意されているという場合もある。

医療保険に対する必要、不要の判断はいずれも各個人によって捉え方の変わる点である。具体的な金額を挙げていくら貯蓄があれば加入する必要はない、と断ずることはできない。極論、精神的余裕を求めるならば加入すれば良いし、そんなもの不要だと考えるならば加入する必要はない、というだけだ。

なぜ医療保険の必要性が問われているのか

しかし医療保険の必要性に関する議論は、そう単純ではない。本当に問題視されているのは「現在加入している医療保険が備えとして機能しているのか」という本質的な部分だ。現行の医療保険という商品の、構造的欠陥がしばしば指摘されているのである。

医療保険がはらむ構造的欠陥とは、実際に発生する療養費に対し(あるいは支払う保険料に対し)支給される給付金が少なすぎることであったり、本当に必要なタイミングで給付が行われないことであったりとさまざまだ。

入院給付金を例に挙げると、現行の医療保険では短期的な入院の場合ほとんど給付がされず、また長期的な入院の場合でもとても十分とは言えない段階で制限がかかってしまうことになる。また昨今の医療現場では入院治療そのものが減少傾向にあるため、入院給付金という保証機能自体活躍の機会が少ないのだ。こういった実状と商品構造とのギャップが、必要性が問われる最大の要因なのだ。

それでも医療保険があるわけ

医療保険の必要性に関する議論は、数に差はあれ医療保険が誕生したころより繰り返されてきた。その度に改良が計られ、現状に至っても問題点が解消したとは言い難い。それでも医療保険が変わらず存在しているのは、拭いきれない不安があるからだ。

例えば、医療保険不要を唱える意見の多くは公的医療保険の手厚さを主張するが、それはあくまでも現時点のみを切り取った側面に過ぎない。5年後、10年後、あるいはもっと先に、同様の手厚さで保障制度が残っていることを断言することは誰にもできない。

では公的医療保険による保証では、いよいよ厳しくなったころに医療保険加入を考えれば良いかというと、当然そのころにはそちらの保険料も相応に上がっていることだろう。

厳密に語るならば、医療保険が必要とする声にも不要とする声にもさまざまな理由があるが、概要は今回挙げたことでおおむね伝わるかと思う。

医療保険を無駄にしないためには

ご覧の通り、医療保険には「絶対に入っておくべき理由」もなければ、「絶対に入らなくて良い理由」もない。それを選択するのは、あくまでも自分自身だ。ただし気をつけてほしいのは、「なんとなく入っておいた方が良い」だとか「単純にお金を払いたくない」などといった理由で選択するべきではないということ。

最低限理解し、納得した上で選ばなければ、近い将来、あるいは遠い将来になるかもしれないが、きっと後悔することになってしまう。保険は一生関わるものだからこそ、時間をかけてじっくりと吟味していただきたい。