101089322_cd7345c2d8_z

一般的に、流通業は消費税増税の影響を受けやすいと言われています。消費者の購買行動が消費税の増税により影響を受けると考えられているからです。もちろん、コンビニエンスストアもその例外ではなく、軒並み業績を下げている会社が多いです。

そんな中でも、好調に業績を伸ばしているのがセブン&アイホールディングス<3382>のコンビニエンスストア事業「セブンイレブン」です。2013年の売上高は、約3.8兆円と驚異的な数字をたたき出しています。これほどまでにセブン&アイが好調なのは、一体どこに理由があるのでしょうか。セブンイレブンを中心として、セブン&アイがとっている経営戦略から考えてみましょう。

セブンイレブンの基本四原則

セブンイレブンには、経営戦略を策定するにあたり徹底されている4つの原則があります。それは、「フレンドリー(サービス)」、「クリンリネス」、「品質」、「欠品のない品揃え」です。一つ一つについて説明しましょう。

「フレンドリー(サービス)」とは、「親しいお友達をおもてなしするかのように」接客をする、ということです。もっと簡単に言うならば、「感じのいい」接客をすること、とも言えます。

「クリンリネス」とは、「きれいな場所」であることです。店内の清掃が行き届いていることはもちろんですが、店の周囲も清掃が行き届いていることも求められています。消費者の心理からすれば、きれいで見やすい店で買い物をするほうが満足のいく買い物ができるに決まっています。

「品質」とは、「商品の品質を一定以上のレベルに保つ」ということです。食品を例にとると、1日に3回店へのデリバリーを行い、賞味期限を短縮するなど徹底した生産管理を行っています。また、1年間で7割の商品が入れ替わる、と言われるほど新商品の開発にも熱心です。それらは、すべて消費者が求める品質の商品を安定して供給するための取組でもあるのです。

「欠品のない品揃え」とは、「欲しいものを、欲しいときに、いつでも買うことができる」体制づくり、とも言えます。一見、簡単なようですが、これを高いレベルで実現するのは簡単なことではありません。セブンイレブンではPOSを中心とした情報システムの導入により、顧客のニーズを踏まえたマーケティングを行い、欠品のない品揃えを実現しています。

ドミナント戦略

昨年、セブンイレブンが四国に初出店した、というニュースが話題になりました。一見、その知名度から全国に展開しているものと思われるセブンイレブンですが、実はそうではありません。2014年5月現在、セブンイレブンがない県は青森、鳥取、高知、沖縄の4つとなっています。しかし、高知には2015年に出店することが決まっているので、事実上「セブンイレブンがない県」は3つになります。<裏を返せば、「まだセブンイレブンがない県が3(4)つもある」ことになるのです。競合しているローソンやファミリーマートは日本全国47都道府県に出店しているのに、なぜセブンイレブンはこのような偏りがあったのでしょうか。 その答えは、セブンイレブンを運営するセブン&アイがとってきた出店戦略にあります。

この戦略は一般的に「ドミナント戦略」と呼ばれています。これはどういう戦略かというと、特定の地域や特定路線沿いに次々と出店し、同一商圏内の競合他社に対して市場シェア率の向上や独占を意図した出店戦略のことです。セブン&アイはこの戦略を取り、出店エリアを徹底的に絞り込むことで、そのエリアでの高いシェアを獲得することにつなげてきました。言い換えれば、「収益の得られるエリアに経営資源を集中させる出店戦略を取った」ことにより、コンビニエンスストア業界でも優位に立てたのです。