2013年はキャノン< 7751 >の収益悪化が危ぶまれた年でした。2013年度の第1四半期の決算発表では、今期の業績見通しを上方修正していたキャノンですが、7月末に発表された上期の決算が大幅な減益となっており、一度上方修正したはずの通期営業利益予想を4500億円から3800億円に下方修正したのです。結局2013年度は売上高3兆7314億円、営業利益が3370億円となっており、前期比率よりは伸長しているものの、当初の目標からは大幅に未達という結果になってしまいました。
デジタルカメラの販売落ち込みが要因
同社の売上げの落ち込みは、デジタルカメラの販売台数の落ち込みによるものです。2013年度のデジタルカメラの販売台数を前年同期比で見ると、なんと年間で21%もマイナスとなっています。同社の主力商品であるレンズ交換式デジタルカメラが7%のマイナス、コンパクトデジタルカメラについては28%のマイナスです。同社はこれまで、デジタルカメラの販売台数の落ち込みを欧州、中国などの景気減速による一時的なものだと説明してきました(日本国内に限ると、出荷台数が前年比43%増と絶好調だったようですが、これは増税前の一時的な減少だと見られています)しかし、2013年度の決算発表会において、田中副社長より「消費者の購買行動が変わってしまった。原因について解明しているところ」と、デジタルカメラの不振が長期に渡るものであることを示唆しています。
円安による追い風も小幅増益
しかも、キャノンの海外向け販売比率は8割を占めますから、円安の追い風を十分に受けているはずです。1円円安に触れると、対ドルベースで197億円、対ユーロベースでは86億円がかさ上げされます。実際のところ、円安による効果で営業利益ベースで、前期に比べて2000億円程度の押し上げ効果があった割には、現地通貨ベースでは減収減益となっています。自動車メーカー各社が円安による追い風で前年比二桁成長を遂げている様子を見ると、世界的にコンパクトカメラ市場がシュリンクしている様子がうかがえます。