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トヨタの2014年3月期における決算は、純利益が前年比90%増となり非常に好調な結果となりました。グループ全体での営業利益は2.3兆円となっており、前年比率73.5%増の伸びを見せています。米市場での好調な販売推移や円安による追い風、国内での増税前の駆け込み需要が要因となっています。しかし、2014年の見通しは、トヨタを始めとする自動車メーカー各社とも、慎重な数値となっています。さて、2014年度にはリーマンショック以降最大規模となる投資を行うことを発表したトヨタの打ち手とは何なのでしょうか?


リーマンショック以降、最大となる1兆200億円を投資

2013年度は、前年比2桁以上の成長を見せたトヨタですが、2014年の純利益予想は‐2.4%減と慎重な姿勢となっています。要因としては、国内における消費税増税後の購入減少や米国の金融緩和の縮小、ウクライナの情勢不安や新興国における通過安等が挙げられています。しかし、今年は種まきが出来る投資の好機であるととらえ、リーマンショック以降最大となる1兆200億円の投資を表しています。同社の過去の最大投資額は、2005年度の1兆5288億円が最高額です。それに次ぐ規模となる今回の投資ですが、トヨタの戦略とは何なのでしょうか。


弱点の欧州で、ブランド強化を図る

トヨタの世界における販売台数は1000万代前後を推移しています。2013年の販売台数も世界1位で、常に米GMと米国のシェアをめぐって熾烈な競争が続いています。しかし、米国のシェア14%に比べると、欧州や中国市場では共に4%程度で推移しているのです。欧州ではフォルクスワーゲンの勢いが強く、シェアを25%も占めています。(次いでプジョーシトロエン11%、ルノー9%)このため、欧州でのブランド力向上の戦略を掲げており、フランスの郊外ル・マンで行われる「ル・マン24H耐久レース」へ出場し、悲願の優勝を狙うなどブランディングに注力するようです。これまで、欧州ではなかなかハイブリッド車のシェアが高まらず、ディーゼル車の燃費が向上したことも相まってディーゼル車の人気が強かったのですが、徐々にハイブリッド車のシェアが伸びてきています。2013年は、前年に比べてシェアが10%前後増加したという情報もあります。ハイブリッド車にトヨタが投じた最新の研究開発費は70億ドルに上ると言われており、欧州やその他世界市場でハイブリッド車のシェアが拡大していくことが肝要です。しかし、欧州の市場における年間100万台の販売台数目標はそのまま据え置くと発表しています。欧州市場にはロシアやトルコ、イスラエルも含まれるため、ウクライナ情勢によって大きく変動が生じるかもしれないという、不安要素も強いのです。