今後期待のロボット市場。国内の主なプレイヤーとは

さて、続々と新型ロボットの発売を発表しているパナソニックですが、有望市場と称されるロボット産業へは国内のメーカーも次々と参入を発表しています。ここ最近で一番大きなリリースとなったのが、ソフトバンクによる人型ロボット「Pepper(ペッパー)」でしょう。2015年2月に発売されるこのロボットの価格は、なんとPCと同程度の本体価格19万8000円(税別)です。破格の値段にも思えますが、ソフトバンクの孫正義社長は「低い値段と高い志で、当面は利益を度外視しても、PCと同じ値段で買えることにも力点を置いた。量産するようになれば、それなりのビジネスとして成り立つのでは」と語っています。感情を読み取って学習を行い、会話も可能だというこのロボットは、既に国内のメディアでも大きく取り上げられており、コンシューマー向けの人型ロボットが受け入れられるかという試金石になるでしょう。

「Pepper(ペッパー)」はコンシューマー向けのサービスロボットですが、医療用ロボットとして注目されているのが、今年3月にマザーズに上場したサイバーダイン社が開発した医療用ロボット「HAL」です。脚などに装着するタイプのロボットで、病気や事故などで手足が不自由となった人の動作を助けたり、リハビリの支援を行います。既に今年度は9億円の売上げを見込んでいるといい、今後数年間は年々倍になる計画だと言います。現在「HAL」はレンタル形式で病院に提供されており、ドイツでは費用が保険適用内になっています。また、米大手のIT企業であるgoogleも複数のロボット関連ベンチャーを買収しており、今後は世界レベルでロボットの開発競争が進むことが予想されます。

今後拡大が見込まれるロボット市場ですが、パナソニックの成長エンジンとなることは出来るのでしょうか。一つ言えるのは、パナソニックの戦略がコンシューマーに向けた商品開発から、法人向けの機器提供にシフトしていることです。パナソニックのナノケアを始めとする美容家電は単体で黒字事業となっていましたが、選択と集中を行うためにヘルスケア事業の売却を行いました。ロボット市場においても、ソフトバンクのようなコンシューマー向けではなく、法人向けのラインナップとなっています。法人寄りの戦略にすることによって、回復基調を見せ始めたパナソニックですが、他の国内メーカーがどういう動きを見せるか注視したいところです。

【参考文献】
パナソニックとソニー決算明暗、両社の違いはどこに?(THE PAGE)
3月期決算「好調パナソニック」と「低迷ソニー」の明暗を分けたもの(nikkei BPnet)
膨らむロボット市場 35年に9.7兆円見通し(日本経済新聞 電子版)
パナソニックの介護ロボ ベッド型に見える本気度( 日本経済新聞 電子版 )
病院内を自動走行、薬を届けるロボット パナソニック「ホスピー」(ITmedia)
ソフトバンク孫社長は人型ロボットを「第2のiPhone」にしようとしている(日経トレンディネット)

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photo: Panasonic - eneloop / Kouki Kuriyama