2014年5月26日、中小型液晶パネル世界最大手のジャパンディスプレイ(JDI)がソニー、パナソニックと有機EL事業で提携する事が分かりました。ソニー、パナソニック両者は次世代ディスプレー用に開発していた有機EL事業を JDI に売却し、タブレット向けの中小パネルを開発する為の新会社を設立する事になります。出資比率は産業革新機構が35%、 JDI が20~30%、ソニー10%、パナソニック10%という事になりそうです。
有機ELパネルはすでにスマートフォン用にサムスン電子が製品化しており、世界シェア約9割と突出しています。有機ELディスプレーは液晶パネルの様に大型化するには生産性の面で歩留まりが悪く不向きで、スマートフォン、タブレット用の中型、小型であれば品質面、生産性も確保できます。今後有機ELはその特性(屈曲性など)から携帯端末だけでなくウェアラブル用としても需要が見込まれており、中小サイズの有機ELパネル市場での熾烈な競争が予想されます。
日の丸連合対サムスン電子の対決と言う構図になりますが、日の丸連合の強みはソニーが医療向けに業務用の有機ELモニターを量産化しており、 これがひとつのキーポイントになりそうです。量産化して市場に流通する事は非常に大きな意味を持っています。耐久性や実用性等について第三者に使ってもらう事で改善が進みますし、多く作る事で製造面でも品質向上が期待できます。
市場を制す事が出来るかどうかは中小サイズの有機ELパネルをどのくらい長寿命化出来るかという点がポイントです。液晶と比較してバックライトを不要にできる事からより薄型化出来ますが、画素寿命は液晶と比べると格段(約1/2程度)に落ちてしまいます。購入意欲を掻き立てる為には液晶パネルに匹敵するくらいのインパクトが必要かもしれません。
この様にまだまだQCD面で不安のある有機ELですが、画素が小さく高画質化に適している事や斜めから見てもはっきりと見える等これまでの液晶パネルには無いメリットが沢山あります。日本企業のお家芸であるカイゼン活動により早期に実用化の目処をつけてサムスン電子の牙城をどこまで切り崩す事ができるか、日の丸連合の生き残りをかけた戦いとなりそうです。
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