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シャープとともに経営が危ぶまれていたパナソニックですが、2014年3月期の決算は3期ぶりの黒字となりました。売上高は前年比6%増の7兆7365億円、当期利益は1204億円となりました。利益水準はまだ低いものの、長らく続いてきた赤字体質からの脱却が図れたと見て良いでしょう。シャープは売上げ高2兆9271億円、当期純利益は115億円、SONYは売上高は7兆7673億円、当期利益は1284億円の赤字となっていますから、他メーカーに比べても優秀な着地と思われます。さて、パナソニックが回復基調に乗ることになった理由とは何でしょうか。


経営のスリム化と投資の集中が要因。今後の戦略とは

さて、パナソニックの業績が好調な要因ですが、主に2つの要因が挙げられます。一点目は、大規模なリストラを実施して経費削減を進め固定費の削減を図れたこと。そして二点目は、選択と集中を行って、経営資源を自動車分野や住宅分野に集中させたことです。

パナソニックは白物家電事業で知られていますが、住宅用の電気設備でも高いシェアを誇っています。消費税増税前の駆け込み需要によって、住宅の着工件数が増えたことも追い風となりました。引き続き住宅分野への注力を発表しており、国内のリフォーム市場に攻勢を掛けて行く姿勢を見せています。

また、ASEANや中国、インド、トルコといった海外市場にも注力していくことを発表しています。また、自動車分野においても国内外の自動車メーカーと提携をしながらカーナビゲーションシステムや音響機器等の開発を進めています。最近ではスマートフォンと連動したカーナビを米ゼネラル・モーターズに納入するなど海外のメーカーとの提携も進んでおり、自動車関連事業は中核事業として現在の売上高3000億円から、2018年までに最大で2倍程度の規模を目指す計画を発表しています。


有望なロボット市場にも積極的に参入

さて、ここまでパナソニックの好調な業績の要因を見てきましたが、画期的な新商品のヒットという派手な理由ではなく、あくまでも選択と集中によって地道に実績を積み上げてきた結果といえます。かつて白物家電で市場を席巻したパナソニックですが、実は新しい分野でのプロダクト開発を進めています。今後有望市場だと世界中のメーカーが注目するロボット市場です。経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、今後国内のロボット市場は2035年に9兆7千億円を超えるという試算が出ています。

昨年秋に発売が開始された病院内自動搬送ロボット「HOSIPI」(ホスピー)は、病院内の地図情報を認識し、血液や尿などの検体、薬品等を搬送するために開発されました。特徴としては、ロボット本体にレールやガイドテープをつけることなく曲がりくねった廊下でも自動走行が可能ということです。さらには、障害物や人を回避する行動が取れるほか、エレベーターにも乗車出来るので階層をまたがって搬送を行うことが出来ます。液晶ディスプレイには、にこやかな顔が映し出され人型ロボットに近い印象を受けますが、利便性が重視されて手足等の付属物はついていません。この「HOSIPI」の他にも、要介護者のベッドと車椅子間での移動をサポートする「リショーネ」が6月に発売開始されたり、人に装着することにより重いものを持ち上げる等の作業をサポートする「パワードスーツ」を2015年をめどに発売する事などを発表したりと、続々と新しいロボット商品を開発しています。