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(写真=PIXTA)

ひと昔前は、携帯電話のキャリアを変えるときは電話番号も変わるのが当たり前でした。しかし今は、番号ポータビリティ(MNP)という制度によって、キャリアを変更しても番号が持ち運べるようになり、大変便利になりました。

実は、確定拠出年金にも同じようなポータビリティ制度があることをご存じでしょうか。転職や退職、また企業の合併の際、今まで自分で積み立ててきた掛け金をほかの会社の確定拠出年金に移す制度が用意されているのです。今回はこのポータビリティ制度について説明します。

想定される4つのポータビリティ

ポータビリティの主なケースとして以下の4つが想定されます。

1. 企業型→企業型
企業型確定拠出年金に加入していても、その会社を退職すると同時に加入資格を失います。次の転職先でも同じように企業型確定拠出年金を実施していれば、ポータビリティによって形成した資産を引き継ぎ(移換)ます。

移換するときには、それまで運用していた商品が移換先にあったとしても、一度売却してから改めて購入する必要があります。確定拠出年金の口座は1人1つしか所有できませんので、退職した会社の分を個人型に移して、転職先で新しく企業型の口座を開くということはできません。

2. 企業型→個人型
企業型から個人型へのポータビリティが可能なのは、退職後に自営業者となった人、企業型が転職先にない人、専業主婦など国民年金の第3号被保険者です。

企業型→個人型の場合、手続きを行って「加入者」もしくは「運用指図者」になります。自営業者になった人は、引き続き掛け金を拠出して自分で運用する「加入者」となります。ほかの企業年金がある会社に転職した人や専業主婦は、それまでの資産で運用だけができて新たな掛け金の拠出はできない「運用指図者」になります。

3. 個人型→企業型
個人型の加入者および運用指図者が、企業型を実施している会社に就職した場合、ここまで個人型で積み立てた分は就職先の企業型へ移換します。このケースも、1人1口座しか利用できないので使い分けることはできません。

4. ほかの企業年金→企業型
確定給付企業年金や厚生年金基金など、ほかの企業年金から企業型へ移換することもできます。前の会社で確定給付企業年金に加入していた人で、退職する時に一時金を受け取る権利を持っていれば、これを現金化して受け取るかそのまま転職先の企業型に移換するか、退職後に個人型に移換するかのいずれかを選ぶことができます。

ただし、加入年数が年金受給権を満たしている場合には、確定拠出年金の目的である「年金受け取り」が実現するため、ポータビリティを行うことはできませんので注意が必要です。

資格喪失から6ヵ月以内に必ず手続きを

ポータビリティは、それまで形成してきた資産を持ち運べる便利な制度ですが、企業型の資格喪失から6ヵ月以内に手続きをする必要がある点に注意しましょう。この期間を過ぎると、国民年金基金連合会に資産が強制的に移されます(自動移換)。

加入者でも運用指図者でもない状態で、新たな積み立ても運用の変更もできず毎月の手数料だけ引かれるため、せっかく積み立ててきた掛け金がムダになってしまう場合もあります。

転職後、環境の変化で忙しい日々を送り、あっという間に6ヵ月が過ぎていたということもあり得ます。早めの手続きを行い、確実に将来の資産を移換することを何よりも優先させましょう。(提供: IFAオンライン

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