がん,保険
(写真=Thinkstock/GettyImages)

国立がん研究センターの資料によれば、2015年のがんによる死亡者数は37万900人で、日本人の死亡原因1位である。がんになるリスクは、残念ながら誰にでもあるものだと言えるだろう。

ご存じのとおり、がんの治療には高額な医療費がかかるため、万が一の事態に備えてがん保険に加入しておくということも重要なことだ。がん保険は治療に専念できるという点で優れているが、昨今では、治療費だけでなく闘病中の収入を保障してくれる商品まである。

また、再発や転移した場合にも保障してくれるものもあるので、多くの選択肢から自身に適切な保障内容の保険を選ぶ必要があるのだ。本稿ではがん保険にスポットをあて、その基本的な部分を解説していきたい。


がん保険の保障の種類は主に5つ

日本は保険大国と言われるが、公益財団法人生命保険文化センターの資料によれば、男女ともに生命保険の加入率は8割を超えている。また、がん保険の加入者も微増傾向にあるようだ。

一口にがん保険といっても、その保障内容は様々である。がん保険を検討する場合には、どの範囲までのがんが認められるのか、転移や再発の場合にまで保障が及ぶのか、保険金支給額やその上限回数・上限金額についてはどうなのか、などについて検討する必要がある。

以下にがん保険の主な保障内容について見てみよう。

診断給付金

がんと診断されたときに給付されるのが、診断給付金である。がんの対処法で一番大切なのは、何といってもスピードである。

がんと診断された時点で給付金の請求ができるのは、これからの闘病生活のための費用を確保できる意味でも大きな助けとなる。各保険会社により金額は異なるものの、治療費の全てをカバーできたというケースもある。

入院給付金

がんで入院を要する場合に給付されるのが、入院給付金である。医療保険と基本的には同内容となるが、1日当たりの定額保険金を入院日数に応じて請求することができる。また、通常の医療保険と異なり、限度日数が設定されていないのが特長と言える。

手術給付金

がんの手術を受ける場合に、その費用を補填してくれるのが、手術給付金である。その金額については、それぞれの保障内容により異なるが、一律の金額が支払われる場合と、所定の計算方法により金額を算出するものがある。

通院給付金

入院をせずに通院のみで治療を行う場合に給付されるのが、通院給付金である。入院を必要としない場合、先に説明した入院給付金の対象とならない場合がある。その点、通院給付金は、条件はあるものの、1日当たりの定額を通院日数に応じて給付されるものである。

先進医療特約

がんをなんとしてでも治したいと誰しもが思うことだが、そのために先進医療を受ける場合には高額な費用がかかってしまう。そうした場合に、安心して先進医療を受けるための保障が先進医療特約である。

がん保険のメリット

がん保険は、がんに特化していることで、病気の性質と治療法に合わせた保障内容が組まれている。通常の医療保険であれば、入院日数などに上限が設けられているが、がん保険の場合はそうした上限がない。

治療が長引いた場合でも安心だ。がんと診断されれば、誰もが不安な気持ちになるだろう。それに加え、これからの治療の費用などお金の心配もしなくはいけない。

しかし、がん保険に加入しておけば、お金の心配をせずにとことん治療に専念することができる。これが最大のメリットであろう。

保険料は各保険会社により差があるが、比較的安めに設定されているため、貯蓄するのは苦手だが万が一のために備えたいという人には向いている内容かもしれない。

がん保険のデメリット

デメリットとしては、がんに特化している分、それ以外の病気に対しては保障されないという点である。もちろん、特約を付けることでがん以外のけがや病気などもカバーできるものもあるが、もちろん保険料は上がることになる。

日本人の死亡原因1位であるとはいえ、自身ががんにかからなかった場合には給付を受けることはできない。そうした不確定なものへの保険であるという点も忘れてはいけない。

また、がん保険は治療に専念することが目的とされており、死亡時の保険金が少ないというケースもある。つまり、死亡時の十分な保障も望むのであれば、別な保険への加入も検討しなくてはならない。

また、他の医療保険の異なる点として、90日間の待機期間というものが存在することも承知しておかなくてはいけない。待機期間とは、保険に加入して一定期間(90日間)はがんになっても適用されない期間のことである。

つまり、極端な例を挙げれば、保険に加入した翌日にがんと診断された場合には適用外となってしまうのだ。その場合には、保険料が返金されるが保険金の受け取りはできない。

高齢になるほど、がんのリスクは高まるため高齢で加入をする場合には、保険料が高額となることが考えられる。がん保険の加入を検討している場合には、健康で若いうちに加入しておくということもポイントになる。

がん保険の選び方のポイント

生命保険の場合、人間はいつか死亡することを考えれば確実に保険金を受け取れるものであるが、がん保険の場合にはがんと診断されない限りは保険金を受け取ることはできない。

月々の保険料が少額の場合でも、長い目で見ればかなりの金額になる。万が一の場合に備えた貯蓄が十分あるのであれば、必ずしもがん保険に加入することが得策であるとは一概に言えない。

営業マンに勧められたものが、必ずしも自分にとって適切な内容であるのかということも見極める必要がある。がん保険にも定期型と終身型があるので、どちらを選ぶかというのもポイントである。

定期型のがん保険

定期型の場合、終身型に比べれば保険料が安いというメリットがある。当面の出費をなるべく抑えたいという人にはおすすめだ。また、より良い商品が販売された場合にそちらに加入し直すということも容易だろう。

定期型のデメリットは、5年、10年といった期間ごとに更新する必要があり、しかも更新のタイミングで保険料が上がる点である。その時点の自分の収入予測と支払うべき保険料をしっかりと念頭に置いて、契約に臨むことが必要だ。

終身型のがん保険

終身型の場合、保障が一生続くという点がメリットであり、保険料が上がらないのも魅力である。しかし、定期型に比べると保険料は割高になる。

一般的には終身型の保険が人気のようだが、それぞれの家計状況に応じた選択が必要だろう。

付帯サービス

近年では、いろいろな付帯サービスのあるがん保険も発売されている。主なものでは、人間ドックやPET(陽電子放射線断層撮影装置)検診の施設紹介や予約サービス、セカンドオピニオンサービス、がんカウンセリングなどが挙げられる。

こうした付帯サービスの有無や、サービスが有料が無料なども、選択基準の一つとしても良いだろう。

「がん」と「癌」は違う?

注意したいのは「がん」と「癌」は異なるものであるという点も、契約時に知っておくべき要素だ。がん保険は「がん」を対象としている。

「がん」は、すべての悪性新生物を指し、肉腫、白血球、リンパ腫が含まれる。胃がんや食道がんなどは上皮細胞が悪性化したものとして「癌」と区別されている。

また、上皮内新生物(上皮内がん)は移転のリスクが少ないことから、商品によっては保障の対象外となることもあるので、注意しよう。

入念な比較検討でニーズに合った保険を

がん保険の保障内容やサービス、保険料については、各社かなりの差があるが、保険会社によっては、インターネット上で簡単に保険料のシミュレーションができるので、検討の際には有効に利用したいものだ。

保険加入の目的に、備えと同時に予防にも力を入れたいということであれば、そうした付帯サービスのある商品を検討することも必要だろう。とにかく保険料が安いものを、と考えている場合には、どこまで保障されるのか、上限はあるのかといった部分を入念に確認してほしい。

申し込みの際には、健康状態などの告知が必要である。正しい告知を行っていなかった場合や、待機期間にがんと診断された場合には保険金を受け取ることができないので、十分注意をしてほしい。

入院が必要でない場合にも保障されるのかという点も商品によって異なるため、「がん保険だから大丈夫」と過信せず、契約時には詳細を確認しよう。すでに加入している人も、加入している保険の内容については定期的に見直しをすべきだ。

保険は、生きていく上で抱えるリスクに対して安心を与えてくれるものである。しかし、保険は商品であることも忘れてはいけない。月々の保険料の支払いが家計を圧迫してしまうこともある。

自身の将来のビジョンを見据えた保障内容、保険料のものを徹底的に比較検討してほしい。