anomaly
(写真=PIXTA)

2016年も残りあと僅かとなりました。米国の大統領選挙では、共和党候補ドナルド・トランプ氏が当選しました。トランプ氏の優勢が濃厚になるにつれ、11月9日の東京為替市場では一時101円台前半まで円高・ドル安が加速。当選確実が報じられた直後は日欧株式市場で大きく値下がりするなど、世界中の金融市場に大きく影響を与えました。

大統領選挙の前年と当年はNYダウが……

アノマリーとは、科学的根拠や合理的理由はないものの、経験則的に値動きに一定の傾向がみられることを指します。

米国株では、「大統領選挙の前年と当年は株価が上がりやすい」というアノマリーがあります。4年ごとに訪れる大統領選挙は夏季オリンピックと重なるため、その前年や当年は景気拡大期待から株高になりやすいと言われています。しかし、2015年(大統領選の前年)のNYダウは年▲2.2%と下げ、過去のアノマリーを逸脱しました。その反動安となった分、2016年(大統領選の当年)のNYダウは+8.2%(11/15時点)と、過去最高値を更新しています。市場参加者はアノマリーも目配せしている可能性があります。

年末は「掉尾の一振」

米国では感謝祭(11月第4木曜日)を機に、年末・クリスマス商戦が始まります。年末のマーケットで注目されるアノマリーには「掉尾の一振(とうびのいっしん)」があります。

掉尾とは「物事が最後になって勢いの盛んになること」、一振とは「きっぱりととり払うこと」を意味し、年内最後の取引日である大納会に向けて株価が上昇やすい現象のことを指しています。

例年、海外投資家はクリスマス休暇に向けたポジション調整を行います。東京株式市場の売買シェアが6~7割といわれる海外勢が売買を手控えれば、取引量が減って閑散相場となります。そのなか、大納会にかけて国内勢のお化粧買い(ドレッシング買い)が相場を押し上げ、掉尾の一振へつながることもあるようです。

12月の株価は○○やすく、1月の株価は○○やすい

また12月の株価は一時的に下げやすく、1月の株価は上げやすいともいわれています。その背景には、国内投資家の損益通算の売りや海外投資家のポジション調整があるようです。1年間の株式の取引で得た利益に税金が掛かります。12月にかけて個人投資家を中心に節税対策として利益と損失を相殺するための売りを出す傾向がみられます。さらに例年12月前半に、海外投資家はクリスマス休暇に備え、ポジション調整も行います。

1月が株高になりやすいといわれています。これは新規資金流入(ニューイヤーマネー)や節税対策資金の再投資等から、株式市場の地合いが良くなりやすいことが挙げられます。

大納会の日経平均株価は上昇しやすいと言われるものの、リスク回避のための手じまい売りも多く出るため、必ずしも株価が上昇するわけではありません。ただ、この直近5年間の大納会は4回上昇(2014年を除く)しており、「掉尾の一振」の傾向がみられます。

2011年は56円46銭高の8,455円35銭、2012年は72円20銭高の1万395円18銭、2013年は112円37銭高の1万6,291円31銭、そして2015年は51円48銭高の1万9,033円71銭となりました。「掉尾の一振」の傾向がみられます。

このほか、大発会で急上昇した銘柄は、1年を通して注目銘柄になるという相場のアノマリーもあります。2016年の大発会ではブロックチェーン関連銘柄の一角がストップ高となりました。ブロックチェーンは「ビットコイン」が発祥元といわれており、足元でも「ビットコイン」関連の材料が頻出していることから、関連銘柄は年を通した注目銘柄と見ることもできます。

株価は常に将来を見据えて動くものとも言われ、「株は噂で買って事実で売れ(Buy the rumor, sell the fact)」という相場格言もあります。株価は人間の心理を描写するともいわれます。アノマリーを投資判断のひとつとして取り入れることも良いでしょう。(提供: お金のキャンパス

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