全国自治体,財政
(写真=PIXTA)

消費者が財布の紐を締め、節約志向が高まる日本経済に、なかなか明るい材料が見当たらない。経済が悪化すると、打撃を受けるのは家計だけでなく、税収などが落ち込む自治体も道連れとなる。消費を抑えて、切り詰めた生活を送る努力をしても、財政難に苦しむ自治体は、十分な住民サービスを提供できないばかりか、水道料金など既存のサービスの値上げに踏み切るケースもあり、その努力が水の泡となることもある。そこで今回は、自治体の財政状況にスポットをあて、財政力に余裕のある自治体をランキングにまとめる。

財力トップの自治体は住民への還元も太っ腹

ランキングの材料として用いるのは、総務省がまとめた地方公共団体の主要財政指標のうち、財政力指数(2014年度決算ベース)。この指数は、自治体の財政収入額を財政需要額で割って算出した数値で、過去3年間にさかのぼった平均値だ。この数値が高ければ高いほど、財源に余裕のある自治体となる。

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10. 茨城県東海村/東京都武蔵野市:財政力指数1.41

10位には、同率で茨城県東海村と東京都武蔵野市が並んだ。東海村は原子力関連施設が村の歳入の屋台骨。武蔵野市は横河電気 <6841> の本社を抱えるほか、吉祥寺などエリアも人気を呼んでいる。

8. 神奈川県箱根町/福島県大熊町:財政力指数1.44

8位には同率で2つの自治体がランクイン。温泉町として日本屈指の箱根町だが、箱根山の噴火問題で観光客も落ち込んだが、15年度にはふるさと納税が5億4000万円を突破するなど、全国からの支援が相次いだ。福島県大熊町は福島第一原発事故を受け、全町避難し、除染廃棄物を保管する中間貯蔵庫の設置を受け入れた。

7. 山梨県忍野村:財政力指数1.47

山梨県からのランクインとなった忍野村。産業用ロボット大手のファナック <6954> が本社を構えるほか、忍野八海など富士の自然に囲まれた観光スポットとしても人気の村だ。

6. 千葉県浦安市:財政力指数 1.48

トップ5を狙う位置につけたのは東京ディズニーランドのお膝元の千葉県浦安市。潤沢な財源を活用して、東日本大震災による液状化現象で被害を受けた住宅に対し、被災者住宅等再建支援補助金を手当てしている。

5. 長野県軽井沢町:財政力指数1.49

トップ5の一席に滑り込んだのは、別荘地として確固たる地位を堅持する長野県軽井沢町。町税91億1800万円のうち、固定資産税が60億9300万円を占めている。

4. 青森県六ケ所村 財政力指数1.64

トップ3に続いたのは青森県六ケ所村。原子燃料サイクル施設が稼働しており、ウラン濃縮工場、原発の使用済燃料の再処理工場など核燃料政策の中核を担う施設が基幹産業として村の財政を支える。

3. 山梨県山中湖村:財政力指数1.81

3位に入ったのは陸上自衛隊の北富士演習場のある山梨県山中湖村。法人村民税が減少する一方、普通建設事業が増えて基準財政収入額が減り、財政力指数が悪化したもののトップ3を死守した。

2. 北海道泊村:財政力指数1.88

2位は人口約1700人の泊村。この村には北海道電力の泊原子力発電所が設置され固定資産税が村の財源を支える。12年度には58億4600万円の歳入のうち、固定資産税が24億6900万円と半分近くを占める割合となった。

1. 愛知県飛島村:財政力指数2.07

全国で一番リッチな自治体となったのが人口わずか4621人(2016年11月1日現在)の愛知県飛島村で、その財政力指数は唯一の2.0超えとなった。これは単純に、村の必要経費を賄うために、その倍以上の収入がある計算となる。村の名前を聞いたことがある人は少ないだろうが、名古屋市に隣接する臨海工業地帯に、鉄鋼関連の事業所や発電所が立ち並ぶ。こうした事業者からの固定資産税が飛島村を日本一豊かな自治体を支えている。

財政のゆとりから住民サービスも充実しており、複合施設には温水プール、ジム、図書館を備え、住民の健康促進と生涯学習の場を提供する。財政が豊かな村では、長寿のお祝いも太っ腹。村に20年以上居住し、90歳を迎えると20万円、95歳で50万円、100歳では100万円が贈呈される。さらに、独居の高齢者宅には無料で乳酸菌飲料を配布し、安否確認をするサービスも手掛ける。

手厚いサービスは高齢者のみならず、次世代を担う若者にも充当され、中学生を毎年約1週間、アメリカのカリフォルニア州に派遣し、旅費と宿泊費は村が負担する。

財政力指数の全国平均は、東京23区を除くと0.49という結果で、トップとなった飛島村は、全国平均の約4倍もの財力の余裕を示した結果となった。財政難にあえぐ自治体からは羨望の眼差しを向けられるが、財源が豊かな自治体の中には、原子力関連施設を抱えるなど、福島第一原子力発電所事故が発生して以降、住民が敏感になりつつある危険と隣り合わせというのも事実だ。転勤などで移転する際には、こうしたデータで治体の財政状況や住民サービスをチェックすることも、重要になってくるだろう。(ZUU online 編集部)

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