株式相場が堅調です。日経平均株価の月間騰落率は10月の+5.9%に続き、11月も+5.1%と2ヵ月連続の上昇となりました。10月は米金利の底打ち・上昇を受けて円安・ドル高になったことが主因でしたが、11月はトランプ氏の大統領選挙当選を受けてそれらが加速したことが株高につながりました。
そして師走(12月)相場となりました。月別の平均騰落率(過去20年)において、12月の平均騰落率は0.9%で、12ヵ月の中では4番目の成績となっています。「アベノミクス相場」開始以降の12月の騰落率はその前半となる2012年が+10.0%、2013年が+4.0%と好調でしたが、後半の2014年は-0.1%、2015年は-3.6%と低調でした。「アベノミクス」や日銀の金融緩和を評価した前半が高かったものの、後半はやや期待がはげ落ちたというのが現実です。
2016年は世界的に主要国の債券相場がピークアウト(金利はボトムアウト)の様相を示し、債券から株式、新興国から先進国へと資金シフトの兆しが見える中での師走相場となり、「掉尾の一振」に期待したい所です。そこで今回の「日本株投資戦略」では、師走相場での活躍に期待したい「来期業績拡大予想の『割安銘柄』」を探るべく、銘柄の抽出を行ってみました。
師走相場で期待!?来期業績拡大予想の「割安銘柄」は?
さっそく師走相場での活躍に期待したい「来期業績拡大予想の『割安銘柄』」を探るべく、抽出を行ってみたいと思います。抽出条件は以下の通りで、これらのすべてを満たす銘柄を(7)の増益率が高い順に並べたものが表1です。
(1)時価総額500億円以上の上場銘柄
(2)2018/3期の市場予想営業利益が10%超の増益見通し
(3)株価上昇率(11/9~12/1)が13.9%(同期間の日経平均上昇率)未満
(4)予想PER(市場コンセンサス)が15倍(日経平均は15.8倍)未満
(5)PBRが1倍(いわゆる「解散価値」)未満
(6)予想配当利回りが2%超(東証一部平均は1.72%)
(7)来期予想営業利益(市場コンセンサス)が10%超の増益見通し
一言で要約すれば「来期業績拡大が予想されているものの、割安感が強く、株価上昇率の面で出遅れている銘柄」となり、抽出条件としてはかなり「欲張り」なものになったと考えられます。
前回(11/25付)の「日本株投資戦略」で、トランプ氏当選後の株式市場で大きく上昇した金融株には、低PBRの「割安株」という側面があるというご説明をしました。「割安株の水準訂正」は、今後も上昇相場が続いた場合の重要テーマになりやすいと「日本株投資戦略」では考えています。上場企業が「低PER」や「低PBR」になり、その低迷が続きやすい要因に「デフレ」や「低インフレ」があると考えるためです。そうした環境下では企業の収益が伸びにくいうえ、資産が減価しやすいためです。