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(写真=PIXTA)

住宅型の福利厚生として有名な家賃補助制度ですが、いったいどれくらいが相場なのか、また自社の水準は適正なのか、その判断は難しいところです。

今回は家賃補助の相場金額を地域や企業規模、そしてライフステージごとに分析していきます。

家賃補助は基本的に家賃相場に比例する

社員の住宅の家賃を一部企業が支給しサポートするのが家賃補助(住宅手当)ですが、その金額の決め方は企業によってさまざまです。

厚生労働省『平成27年就労条件総合調査』によると、家賃補助の平均金額は月々1万7,206円となっています。

家賃補助は家賃の相場から計算するのが一般的なため、首都圏と地方ではその金額が異なってきます。例えば家賃相場の3割を目安として補助を支給する場合、単身者向けワンルームマンションの家賃が10万円の地域ならば3万円、家賃6万円の地域ならば2万円程度ということになります。そのため物件の相場が高い都市部のほうが家賃補助も高額になる傾向にあるといえるでしょう。

また定額ではなく家賃の〇%を補助として支給する、と就業規則に定められている場合は地域やその他の条件に関わらずその計算式が採用されます。他に家賃または月々のローンが10万円までなら2万円、10万円超ならば3万円、といった区分けによる取り決めの方法もあります。この2つの方式の場合は割増賃金の算定の除外対象となります。

企業規模が大きいほど補助額も大きい

大企業は福利厚生に力を入れているところが多いですが、家賃補助についても例外ではないようです。

厚生労働省の平成27年の調査では、30~99人規模の企業の家賃補助導入率41.4%に対し、1,000人以上が在籍する企業は59.1%が導入しているという結果が出ています。これは全体平均の45.8%を大きく上回る結果です。金額は1万9,333円で、平均よりも2,000円以上、30~99人規模の企業の1万4,359円の3割以上高い金額を支給しています。

また業界別では情報通信業が最も高額で平均2万5,312円、最低額は電気・ガス・熱供給・水道業の1万466円でした。同業他社よりも自社の家賃補助額が多い場合には、求人の際のアピールポイントとすることもできます。ただし、この金額はあくまで企業から家賃補助または住宅手当として社員に支給されている手当の額ですので、社宅という形で補助を行っている場合にはこの統計には含まれません。

ライフステージによる家賃補助の変化

家賃補助の金額を一律定額としている企業は約2割で、残りの約8割はさまざまな支給要件・手当額の決定要素によってその額を定めています。その要件・要素には任意ですが、家賃額や居住地、役職といった項目が挙げられます。引っ越しや昇格によって家賃補助額も変わるということです。マイホームを購入した場合は持ち家ということになり、補助額が減る・または補助対象外となることもあります。

また世帯主であるかどうか、扶養家族がいるかどうかという要素を家賃補助額の判断基準としている企業はそれぞれ約45%・約55%存在し、該当する場合には社員の結婚や子どもの有無によって家賃補助額に変化があることになります。

社員は同じ会社で働いているうちにも、結婚や子どもの誕生など生活環境の大きな変化を迎えることがあります。それぞれのライフステージに応じた補助を行うことで、より充実したケアの実現につながります。

企業によって幅のある家賃補助額。一概にいくらというわけではないため、経営者の判断に委ねられる部分が多い項目です。企業にとっては給与と同じく経費となりますが、社員には手当が厚いのは嬉しいことです。一度決めると何度も変更できるものではないため、業界の平均額や一般的な算出方法をもとに、自社に最適な家賃補助額を決定しましょう。(提供: フクリ!

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