日本航空(JAL) <9201> の株価が堅調に推移している。
エアキャリアの収益は原油動向に左右されやすい。航空機のジェット燃料が原油価格と連動しているからだ。燃料費は航空会社の「コストの約25%」を占める最大のコスト要因である。普通に考えれば、最近の原油高はJALの業績にマイナスに作用するはずだ。
にもかかわらず、なぜJALの株価は堅調に推移しているのだろうか? 筆者が注目したいのは、世界的なカリスマ投資家として知られるウォーレン・バフェット氏の存在だ。
再上場来の高値から一転して下げる
まず、JALの株価を見てみよう。2015年8月、JALは4940円の高値をつけた。これは同社が2012年に再上場して以来の高値である。背景にはインバウンド需要に加えて、原油安が指摘される。
原油価格は2013年から2014年にかけて100ドル前後で推移していたが、2015年半ばに50ドル水準まで急落している。原油安による燃料コストの低減がJALの利益を押し上げる要因の一つとなったのだ。 事実、JALは2016年3月期に過去最高益となっている。
問題はその後の展開だ。JALの株価は2015年8月の4940円をピークに2016年10月の安値2929円まで1年2カ月ほどの下げトレンドに入る。その間原油価格が30ドル割れまで下げ続けたにもかかわらず、JALの株価は大きく反発する気配を見せなかったのである。
JALは今期業績を下方修正
JALが10月31日に発表した2017年3月期連結中間決算(4〜9月)は、売上が前年同期比5.2%減の6519億円、本業の利益を示す営業利益は同23%減の924億円となった。過去最高益を記録した2016年3月期から一転しての減収減益である。
熊本地震の影響で国内旅客需要が減少したことに加え、世界的な景気停滞懸念から欧米路線などで利益率の高いビジネスクラスの利用が予想以上に落ち込んだこと、円高の進行や燃油サーチャージ収入が大幅に減ったことも影響した。
JALは2017年3月通期の予想を、売上1兆3430億円から1兆2800億円に5%、営業利益を2010億円から1700億円に15%とそれぞれ下方修正している。
今年10月までの1年2カ月ほどの下げトレンドは、今期の減収減益を見越したものと言えるのかもしれない。