年金,年金 受給
(写真=PIXTA)

年金の支給は何歳からか。あなたは自信を持って答えられるだろうか。では、あなたは一体どの年金に加入していて、毎月いくらの保険料を支払っているだろうか。これらを即答できる人は、なかなかいないのが現実である。

「自分の頃には年金はもらえない」という議論はするものの、自分が年金をいくら受け取るとこができるのか、計算をしている人も少ない。今回は、その答えを紹介する。

年金の受給はいつから開始できるのか

老後に決まった金額を受け取る年金を「老齢年金」と言う。老齢年金の中でも、国民全員に加入の義務がある国民年金を「老齢基礎年金」と呼んでいる。年金制度の中では「1階部分」と呼ばれ、年金制度の基礎部分となる。現在、老齢基礎年金の支給開始年齢は原則65歳である。

原則、というからには例外もある。実は、老齢基礎年金は60歳からの受給も可能なのである。ただし、受給額は減らされることになるので、慎重に判断をする必要がある。例えば、60歳0カ月から60歳11カ月までの間に受給を開始した場合には、24.5%から30.0%減額されることとなる。減額率の計算は「0.5%×繰り上げ請求月から65歳になる月の前月までの月数」となる。かなりの減額となることが想像できるであろう。

一方、65歳を過ぎて受給を開始する場合(繰り下げ請求)、受給額は増える。70歳0カ月以降に受給を開始した場合には、142%もの増額率となる。つまり、この制度をうまく活用すれば、トータルの年金支給額は大幅に増える可能性もある。

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受給要件について

国民年金(基礎年金)は、20歳から60歳になるまでの40年間保険料を納め続けた場合、初めて満額の支給となる。2016年現在の満額は、78万100円である。もし、何かしらの理由により未納期間があったり、免除や猶予を受けたりしていると、満額の支給ではなくなるので注意が必要である。

現在は、加入期間が合計で25年以上のものが受給資格を有する。改正法の成立により、その期間が10年に短縮されることになった。2017年8月の施行で、10月から約64万人が新たに年金を受け取る見込みである。10年に短縮されたことにより、受給資格を持たなかった人も対象となる点では、メリットがある。しかし、その場合にはもちろん満額の支給とはならないのである。

まずは、年金手帳やねんきん定期便などで、保険料が未納になっている期間がないかを確認してほしい。現在は経済的余裕がなく支払いが難しいという場合には、速やかに免除申請、猶予申請を行うことをお勧めする。

年金の受給はいつからがおすすめ?

先ほど紹介したように、受給開始の時期により支給額は大きく変わる。では、いつからの支給が「お得」なのであろうか。2つの例を挙げてみよう。

例えば、通常なら65歳から受けとれる年金を、60歳から繰り上げて受給することも可能である。早めのリタイアを考えていたり、自身の健康に不安を持っていたりする方には有用な選択肢であろう。ただ、一定の割合で減額されるので注意が必要である。減額の割合は「0.5%×繰り上げた月数」である。

では、90歳まで生きた場合はどうであろうか。60歳から支給を開始した人の年金受給期間は30年となる。70歳から142%の増額された年金を20年間受け取った場合と比較してみよう。現在の年金額は満額が78万100円であり、60歳からの支給の場合、最大30%減額される。

つまり、54万6070円×30年=1638万2100円である。一方、70歳以降に受給を開始した場合、78万100円×1.42×20年=2215万4840円と、かなりの差が生じる。

自身の寿命を推測することは難しいが、これだけの差が出る。「健康に」「できる限り長生きをする」自信があるならば「70歳以降に受給を開始」するのがお得という結果になる。

いくらもらえる?年金の受給額

続いて、老齢年金支給額の計算方法について紹介する。

何度も登場しているが、現時点での老齢基礎年金の満額は78万100円である。

満額(78万100円)に、保険料納付月数+(全額免除月数×8分の4+4分の1納付月数×8分の5+半額納付月数×8分の6+4分の3納付月数×8分の7)を40年(加入可能年数)×12で割れば、あなたの年金支給額を算出することができる。

この計算からもわかるように、老齢基礎年金はとにかく加入期間を最優先事項にしている。未納期間は一切カウントされない。支払いができない場合でも免除、猶予申請を行うことで期間に算入できることに加え、その内容に応じた割合で支給を受けることができるのである。

ただし、満額は今後変更になる可能性もあるため、参考程度にしてほしい。また、先述の通り、60歳からの繰り上げ受給や、繰り下げ受給をした場合は増減がある。それらの制度を利用する場合には、この計算によって導き出された金額にさらに一定割合を掛けることになる。

年金手帳を用意

今回は、国民年金(基礎年金)を中心に紹介してきたが、その他に厚生年金、共済年金、企業年金など、個人によって加入状況はさまざまであり、その計算方法も異なっている。まずは、年金手帳を手元に用意し、自身の加入している年金はどのようなものなのか、これを機に徹底的に調べてみてはどうであろうか。(ZUU online編集部)

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