銀行員のホンネ,商品,ウラ,オモテ
(画像=日本実業出版社)

銀行員のホンネをこっそり公開

株や投資信託等を始めようと考えているビジネスパーソンにとって、銀行員は親身に相談にのり、疑問に答えてくれる頼れる存在といえます。

しかし銀行の仕事のひとつが金融商品を販売して手数料を稼ぐことである以上、ホンネでは、「おいおい、こんな金融用品、本当に販売していいのか? これは少なくとも自分の家族には勧められないな……」なんて思いながら、あなたに商品を勧めているかもしれません。

元銀行員で個人向け営業に精通している高橋忠寛氏の著書、 『銀行員が顧客には勧めないけど、家族に勧める資産運用術』 より、こっそりと銀行員のホンネをご紹介します。


金融機関の営業担当者には、ノルマといわれる目標数字があります。

会社によって、取引金額で管理しているところや手数料収入で管理しているところがあり、目標金額にも違いがありますが、たとえば手数料収入であれば、入行して3~5年目の行員の場合で月に200万~300万円ぐらいが目標といわれます。この目標数字をこなせないと、自分自身の営業成績、そして昇進にも関わってきます。

結果として、ノルマのために家族にはとても勧められないような金融商品を顧客に勧めることも……。

ホンネ1. おカネのない若いお客さまには、手数料をたくさん取れる保険商品を勧める

日本人の平均寿命が延びた結果、定年退職後も20~30年は生きるようになり、資産を蓄え運用する必要性が高まっています。とくに、日本の年金財政の厳しさを考えると、若い人たちほど、定年後を見据えての資産形成が必要となります。

銀行もそういった事情は理解していて、若い人たちへのサービスや商品提供が大切になると考えています。しかし当然のことですが、30代、40代のうちは動かせる資産がそれほど大きくないため、大きな投資を行なうのはむずかしく、「理想と現実のギャップ」がうまれます。

そのため、銀行員の本音としては 「若い人たちは投資には消極的だし、投資信託を買ってもらったとしても手数料収入が稼げないから、販売もしやすくて手数料率も高い商品を販売しよう」 ということになります。 (49ページより)

保険商品は、投資信託に比べて銀行として受け取れる手数料率が高いために、より効率的に収益を稼ぐことができます。そのため、動かせるお金が少ない若いお客さまには「30年後には預けたお金が1割増えます」などといって、貯蓄性のある保険商品を利用しての資産形成を勧めるのです。

しかし、そもそも保険とは本来、万が一が起こってしまったときに経済的な損害から自分や家族を守るためのものであって、効率的な投資の手段ではありません。他に資産形成の方法はないのか? 定期保険など掛け捨ての保障を必要な時期に利用するほうが効率的ではないか? など、冷静に考える必要があるかもしれません。

ホンネ2. 買う気満々のお客さまを、わざわざ止めない

生命保険にしても投資信託にしても、お客さまにとって安い買い物ではありません。預金がメインのお客さまのお金を、資産としてすぐに使うことができない生命保険や、元本割れをする可能性のある投資信託に使ってもらうのは、銀行員にとって簡単なことではありません。

そんなとき、「退職金を受け取ったのだけど、これまで投資もしたことないので、お勧めの商品を紹介してください」なんて言う、すでに商品を買う気満々のお客さまが窓口に現れたら……。

銀行員は手数料収入が期待でき、そのときの相場見通しに基づく商品や、銀行として販売に力を入れている商品を提示することになります。

本来、プロのアドバイザーであれば、相手の状況を聞き、保障の必要性の確認やコストの大きさを伝え、リスクを抑えた商品の活用を提案するべきです。しかし、銀行の営業担当としては、そんなアドバイスをしていたら失格なのです。

銀行もビジネスですから、お客さまの満足度を高めることができ、自らの収益を上げることができるのであれば、それはよい仕事といえます。むしろ、お客さまの将来のことを本気で考えて違う方法を提案することは、買う気満々のお客さまからしてみると不満につながるかもしれません(54ページより)

ホンネ3. 時間分散よりも一括投資が有利!?

株式や投資信託、あるいは外貨預金など、価格が変動する商品で儲けるためには、大底で買って天井で売れば一番儲かり、効率的です。しかし、たえず続いている値動きのなかで、どこが天井・大底なのか見極めるのは不可能です。

したがって、本来であれば「この1000万円で投資信託を買おうと思う」というお客さまに対しては、少なくとも何回かにタイミングを分けて投資することをお勧めするべきです。

しかし、銀行ではこうした時間分散を勧めるようはことはしません。なぜなら、一括で買ってもらったほうが非常に営業効率がよいからです。(57ページより)

ホンネ4. アナリストレポートを、最大限に活用する

銀行や証券会社など、大手の金融機関には、社内にエコノミスト、アナリスト、ストラテジストなどがいて、いろいろなレポートを書いています。内容は日本経済や世界経済などマクロ経済の見通しや、株式市場、為替市場などのマーケットの見通しなど、多岐にわたり、投資信託などの金融商品の販売に活用されます。

しかし、マーケットのこれからの動きを事前に予測し、正確に当てることは、プロにとってもむずかしいことです。ところが、投資経験の少ない人は「プロの判断は正しいに違いない」と鵜呑みにしてしまいがちです。参考にするのはかまいませんが、「レポートはそのとおりになるとは限らない」ということは、冷静にわきまえておく必要があります。

セールスに都合のよいレポートのみを引っ張ってきて、営業の際には、「うちのアナリストの判断によれば」とか、「このレポートにこう書かれていますので」と言いながら、お客さまの背中を押すのです。(62ページより)

金融商品を購入するにあたり、銀行員が言っていうことが本当に正しいのかどうかをきちんと考えてみることは、とても大切です。

そして、自分には何が必要で、どのような資産形成を望んでいるのかを決め、自分にとって必要なアドバイスだけを受け取る関係を目指すことが理想ですね。(提供: 日本実業出版社 )

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