年金,年金 受給額
(写真=Thinkstock/Getty Images)

あなたは何歳から年金が支給されるか、ご存知だろうか。60歳、65歳、70歳、いずれも正解である。なぜならば、公的年金の場合、自分自身で支給開始年齢を決めることができるからだ。しかし、これは現行制度での場合である。2017年8月からは、国民年金の資格期間が25年から10年に短縮されたり、個人型確定拠出年金がスタートしたりするなど、年金制度は変化している。ここでは、年金の支給開始年齢について説明する。


国民年金は65歳から:長生きするほどもらえる

国民年金の老齢基礎年金の支給開始年齢は、原則65歳である。例外として、60歳から65歳になるまでの間の繰上げ受給も可能だ。しかし、その場合には受給開始時の年齢に応じて年金が減額される。その減額率は最大で30.0%の減額となる。

一方、65歳を過ぎてから受給を開始した場合には、支給額が増加する。1941年4月2日以後に生まれた方の場合、70歳を過ぎてからの受給で42.0%増額される。早く受給を開始するよりも、お得である。

支給開始年齢によって支給金額の増減があるため、受給を繰り上げる場合と繰り下げる場合での受け取る年金の総額は、長生きをすればするほど、差が広がることになる。しかし、増額のために受給を繰り下げた場合には、年金受給まで何らかの手段で生計を維持しなければならないため、自身の老後のマネープランをよく考えてから判断する必要があるだろう。

厚生年金も65歳から:国民年金に上乗せ

厚生年金の支給開始年齢も原則65歳である。厚生年金は、国民年金に上乗せして支給される。ただし、60歳以上で国民年金を受給する要件を満たしており、厚生年金の加入期間が1年以上ある場合には、当分の間、65歳になるまで特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができる。

老齢厚生年金の支給額を計算する方法は複雑である。1961年(女性は1966年)4月2日以降生まれの方の場合、65歳以上で受給を開始した場合には、老齢厚生年金として「報酬比例金額 + 経過的加算 + 加給年金額」の3つを合計した金額が支給されることになる。

報酬比例金額は「平均標準報酬月額 × 生年月日に応じた率 × 2003年3月までの被保険者期間の月数 + 平均標準報酬額 × 生年月日に応じた率 × 2003年4月以後の被保険者期間の月数」という計算式により算出される。老齢厚生年金の支給金額は、生年月日や報酬金額によって人それぞれなので、詳しくは、ねんきん定期便やねんきんネットでご確認いただきたい。

年金受給資格とは

年金は誰にでも支給されるわけではない。受給には要件がある。国民年金の場合、25年以上の保険料納付済期間が必要である。しかし、2017年8月1日からは、その期間が10年に短縮されるため、今まで受給できなかった人も10月以降から受給できるようになる。

厚生年金の場合には、国民年金の受給資格を満たしていること、厚生年金保険の被保険者期間が1か月以上あることが要件となる。

支給開始年齢引き上げの背景と影響

厚生年金の支給開始年齢は、年金制度発足当初は55歳であったが、改正により65歳に引き上げられた。国民年金は、発足当初から65歳であった。

では、なぜ支給開始年齢は引き上げられたのだろうか。社会保障審議会年金部会の「支給開始年齢について」という資料を基に解説する。

1942年(昭和17年)に厚生年金保険法の前身である労働者年金保険法が発足した当初は、支給開始年齢は男性55歳、女性は適用外であった。その後、男女ともに55歳に引き上げ、男性60歳女性55歳、男性65歳女性60歳と徐々に男女差をなくし、1994年(平成6年)の改正により男女65歳となったのだ。

引き上げの背景には、財政効果の期待があった。支給開始年齢を引き上げることにより、現役世代の保険料率を抑える目的があった。加えて、少子高齢化により、現役世代の負担が増加してしまうことを考慮し、支給年齢を引き上げていった経緯もある。日本だけではなく、主要先進国でも支給開始年齢の引き上げが行われている。

さらに、高齢者雇用の動向も考慮されている。資料によれば、日本の高齢者は就業意欲が高く、働けるうちはいつまでも働きたいという者、70歳以上まで働きたいというものは、それぞれ3割以上いる。

今後の動向に注目

このように、受給開始年齢は段階的に引き上げられてきた歴史がある。年金をもらえる時期が遅くなるのは困るという人も中にはいるだろう。しかし、いつまでも働き続けたい人がいるのも事実である。

更に支給開始年齢を引き上げるべきとの意見もあることから、今後も年金制度が改正されていく可能性がある。自身の老後に関わる重要な事項なので、年金に関するニュースに注目してほしい。