富裕税のデメリット:徴税時に必要な費用が高額化する点
富裕税のデメリットは徴収コストの高さです。富裕税の特性上、税務署側が国民1人1人の財産状態を正確に把握しておく必要があるため、大変な手間を要する模様、下手したら10円の富裕税を徴収するのに2円~3円の費用が必要になる可能性があります。また、不動産とそれ以外の財産で課税しやすさの違いからくる不公平の件、土地・家屋等の不動産はまだしも、海外の銀行口座等は把握が難しく(そもそも日本の法律で課税対象にできるのか)点も上げられます。そして、今の固定資産税には実価格と不動産価格の違いがある様に、不公平を避けるには今のシステムを全て見直す必要があります。
なお、特に貯蓄に課税するのは抵抗感がある人が多く、実際に貯蓄に対して課税する場合、金融恐慌や国際暴落が起きる危険性もあります。そもそも、金利以上の富裕税を付けたら誰も貯蓄しなくなるため、低金利時代に富裕税を導入するのは難しいのかもしれません。
他の税目を優先して引き上げるべし
スペインでも期限付き富裕税を復活する予定です。2億円以上の部分に1%の富裕税を課税するだけで毎年2兆円以上の税収が得られます。富裕層が海外逃亡する危険性がありますが、日本のまわりは発展途上国が中心ですから、わざわざ遠い欧米諸国や所得水準が低いアジア諸国に向かう人はあまりあらわれないでしょう。しかし、導入により海外に財産を逃がす人も増えると思います。特に新しく導入した瞬間、不動産や株価の売り注文が続出するのは目に見えているため、海外企業が日本の土地や株式を買い占めてしまう危険性があります。
それよりも、分離課税になっている株価や証券の税制を通常課税に戻したり、贈与税を引き下げる場合、(配偶者への相続を除く)相続税を大幅に引き上げたり、そして、消費税を引き上げるべきです。消費税は逆進性が強い税金と言われますが、厚生年金等の所得比例の社会保険料も社会保険料控除を考えたら同じぐらい逆進性があらわれています。(ZUU online編集部)