ポイントプログラムの現状

◆ポイントの発行残高

ポイントプラグラムの2014年度の年間最少発行額(判明した売上高など×ポイント適用率×ポイント還元率により計算)は8495億円、2022年度には1兆1000億円に達すると推定されている。

2014年度の8495億円の内訳は、クレジットカード(業界全体のショッピング取扱高がベース)が最も多く2313億円、次いで家電量販店(主要8社の売上高がベース)が2173億円、携帯電話(主要3社の売上高がベース)が1079億円などとなっている(1)。

2005年度は4520億円、内訳は、クレジットカードが1458億円、携帯電話が874億円、航空会社(主要2社)が750億円(2)などであったことから、9年間で2倍近くに拡大している。

◆ポイントプログラムに関する規定

各企業は、ポイントプログラムに関する規定を設け、ホームページに掲載して消費者に示している例が多い。

規定内容は企業によって区々で、消費者にとって重要な事項のひとつである有効期限についても、

・ポイントが付与される取引が行われた日から1年間(アマゾン、楽天など)、最終のポイント変動日(付与、使用)から1年間(Tポイントなど)

・有効期限2年(MUFJカード、JCBカードなど)

・有効期限3年(JALマイレージ、ANAマイレージなど)

・有効期限なし(セゾンカードなど)

などとなっている

また、大半の規定では、企業側がいつでもポイントプログラムを廃止したり、内容を変更できるとしているが、その際、消費者へ何らかの方法で周知するかどうかは各社の規定が分かれている(3)。

◆ポイントの個人税制上の取扱い

ポイントの税制については、個人が商品購入履歴などにもとづき付与されるポイントは、法人からの贈与により取得する金品として、ポイントを使用した時点で、一時所得の対象となり、アンケートの回答などにもとづき付与されるポイントは、役務提供の対価として、同様にポイントを使用した時点で、雑所得となるという見解が示されている。

なお、一時所得には、50万円の特別控除額があるため、ほとんどの納税者は申告する必要はない。雑所得についても、年末調整によって所得税額が確定する、大部分の給与所得者については、給与所得、退職所得を除く各種の所得金額の合計額が20万円以下の場合、申告不要となる。

これは、ポイントの法的性質について、「ポイントプログラム契約により消費者が得る債権とは、・・・停止条件付き贈与契約(筆者注:消費者側がポイントを商品やサービスとの交換などの方法で請求するまでは、効力を生じない、対価を支払うことなく給付を受けることができる契約)による債権である」と位置づけた上で、所得税法第36条に規定する「金銭以外の物又は権利その他経済的な利益」に該当し、課税されるべきであるとの整理(4)であり、妥当な見解であるものと考えられる。

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(1)ニュースリリース「ポイント・マイレージの年間発行額は2022年度に約1兆1,000億円に到達~国内11業界の年間最少発行額について、2014年度の推計と2022年度までの予測を実施~」(2016年10月5日)、野村総合研究所ホームページ。
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2)ニュースリリース「日本国内の『企業通貨』発行総額は4,500億円超~主要9業界の2005年度の発行金額を推計~」(2006年8月16日)、野村総合研究所ホームページ。
(3)各会社ホームページ。
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4)「企業が提供するポイントプログラムの加入者(個人)に係る所得税の課税関係について」『税大論叢』第78号、2014年6月、国税庁ホームページ。
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