再就職がなかなか決まらないときに頼りになる失業保険だが、実際にはどの程度の金額を受け取ることができるのだろうか。ここでは、ややこしい計算を楽にするWebサイトや簡単にできるシミュレーションを紹介する。合わせて、失業保険の給付金額が高くなる人の条件や、計算するうえでの注意点についても見ていこう。
目次
失業保険の給付金額の計算方法
失業保険の給付金額(基本手当)を計算するためには、最大何日受け取れるか(所定給付日数)と1日当たりいくらもらえるか(基本手当日額)を確認しておく必要がある。
所定給付日数
倒産や解雇など会社側の事情が原因で離職した場合や、その他やむを得ないと判断される理由で離職した場合、所定給付日数は次のように決定される。
離職前に雇用保険被保険者であった期間が1年未満の場合と、同期間が1年以上5年未満で離職者が45歳未満の場合は、所定給付日数は90日となる。その他の場合は離職前の雇用保険被保険者であった期間と年齢によって、120日~330日に設定される。
本人の意思により離職した場合、離職前に雇用保険被保険者であった期間が1年未満の場合は、所定給付日数は0日と決定される。1年以上10年未満の場合は90日、10年以上20年未満の場合は120日、20年以上の場合は、150日となる。
体に障害がある人や、刑法などの規定などの理由で就職が困難とされる人の場合、離職前に雇用保険被保険者であった期間が1年未満の場合は、所定給付日数は150日と決定される。1年以上で、離職者が45歳未満の場合は300日、1年以上で、離職者が45歳以上65歳未満の場合は360日となる。
基本手当日額
離職直前までの6カ月間の月額給与(賞与などを除く)の合計を180で割った金額の約50%~80%(60歳から64歳の場合は45%~80%)を基本手当日額とする。ただし、年齢ごとに次の上限が決められている。
年齢が30歳未満の場合であれば上限額は6370円、30歳以上45歳未満だと7075円、45歳以上60歳未満だと7775円、60歳以上65歳未満だと6687円となっている。
受給金額が高くなる人の条件
転職したいといった個人的な理由で離職するよりも、勤務先の倒産や勤務先から解雇された場合のほうが、基本手当日額は同じだが給付日数が多くなるため、受給できる総額は増えることになる。
離職の理由にかかわらず、雇用保険被保険者であった期間が長い場合も給付日数が増えるため、受給総額は増えることになる。
また、前述のとおり、基本手当日額は離職前6カ月間の平均賃金日額の約5割から8割となるが、この賃金日額が低い人には高い割合(80%)を、高い人には低い割合(50%)をかけることになる。
とはいえ、なるべく上限近くまでの給付を受けるためには、そもそもの離職前の給与がある程度高いほうが有利だといえるだろう。
簡単に計算できるWebサイト
自分の賃金日額ではいくらくらいの基本手当日額になるのか、その基本手当を最大何日受け取れるのかを計算してくれるWebサイトがある。いま離職したらどれくらいの金額を受け取れるのか気になる方は試してみるといいだろう。
自分が受け取れる失業保険の金額を簡単に計算
ネットピコ運営の「シツホ」では、6カ月間の給与総額(賞与を除く)と年齢、勤続年数のほか、退職理由の3つを入力するだけで、給付日数や日額手当、月額手当、手当総額を求めることができる。
雇用保険の給付額の計算
カシオ計算機の「keisanサービス」では、離職票の提出日や離職前6カ月の給与総額、離職時の年齢、被保険者期間、初回の認定日を入力すると、基本手当日額や待機期間、初回認定日に加え、自己都合か会社都合によって給付日数と給付総額がどの程度変わるかを一目で見ることができる。
シミュレーション
では、実際にいくらくらいもらえるのか計算してみよう。23歳から勤続しており、離職前6カ月間の給与が180万円だった会社を30歳で退職する場合、退職理由が自己都合だと基本手当日額は5705円、給付日数は90日間、支給総額は51万3450円となる。
一方、同じ条件でも会社都合による離職の場合、基本手当日額は5705円、給付日数は120日間、支給総額は68万4600円という具合に、給付日数と給付総額が増えることになる。
計算するうえでの注意点
基本手当日額を求める際に使う「6カ月間の給与総額」は、基本給はもちろん、残業手当や通勤手当、住宅手当は計算に含めるが、賞与や祝い金など毎月定期的に受け取るわけではないものについては計算に含めない。
そのため、基本給が低く賞与やインセンティブが多い人が離職した場合は、基本手当日額が予想以上に少なくなることもある。
まずはシミュレーションをしてみよう
転職を視野に入れている方が次の就職先を探すまでの“つなぎ”として失業給付を考えるならば、衝動的に離職するのではなく、いくらもらえるのかをしっかりと計算してから離職するのが安心だ。まずは失業給付のシミュレーションから始めよう。